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Gentemstick TT

1998年スタートのスノーサーフ・原器――ポインテッドノーズ+ラウンドテールのディレクショナル

GentemstickスノーサーフTaro TamaiパウダーボードNiseko

Gentemstick の創業期モデル「TT(Taro Tamai)」の解説――シェイプは1990年に Taro Tamai が設計し、1998年10月のブランド発足時に20本1モデルでスタート、フラットキャンバー+デュアルラジアスのスノーサーフ思想を約30年にわたって体現してきた、現行ラインに残る原器


「TT」は Gentemstick のフラッグシップ・ディレクショナル。モデル名は創業者 Taro Tamai(タロウ・タマイ)のイニシャルに由来します。シェイプそのものは 1990年に Tamai が設計し、1998年10月の Gentemstick 発足時に20本1モデルで世に出ました。以後約30年、長さ・幅・モダンクラシックの輪郭を保ったまま、サイドカットとテールロッカーを微調整しながら現行ラインに残る、ブランドの原器です。

初登場:1998年10月

項目内容
初登場年1998年10月(Gentemstick ブランド発足と同時)
シェイプ設計年1990年(Taro Tamai による設計)
ローンチ規模20本/1モデル(TT のみ)
モデル名の由来Taro Tamai のイニシャル「T.T.」
設計思想スノーサーフ――サーフボードの輪郭をスノーボードに持ち込み、低速トラバースとロー姿勢を両立
立ち位置大手ブランドのフリーライド/パウダー流派とは別系譜の「サーフ流」原器。Burton Fish(2002/スワロー)より早く、Mantaray(2000/同社初スワロー)の前段世代

Gentemstick 公式英語ページの解説によれば、TT 165 Classic は 2020年に初代モールドが寿命を迎えるまで同じ型で生産され、2021年にノーズ〜最大幅にかけてのラインを再整理した新モールドへ更新されています。「長さ・幅・モダンクラシックの輪郭」は1998年から不変、というのが Gentemstick 自身の表現です(出典: gentemstick.com/en/products/24-25-tt-165-classic)。

シェイプ

TT の特徴は 「ポインテッドノーズ」「ラウンドテール」「極小テーパー(2.5mm)」「フラットキャンバー(0mm)」「デュアルラジアス・サイドカット」 の組み合わせ。サーフボードの輪郭をそのままスノーボードに置き換えたような、当時のフリースタイル/フリーライド主流とは明らかに別系譜のシルエットです。

Gentemstick TT 165 Classic(24-25 現行)

Gentemstick TT 165 Classic 24-25年モデル:緑のトップデッキ、ポインテッドノーズとラウンドテール

画像:Gentemstick T.T 165 Classic(24-25シーズン)
出典:Gentemstick 公式 / Snowline.jp 経由
※ シェイプ自体は1990年に Taro Tamai が設計、1998年10月よりブランド販売。現行モデルもこの輪郭を保持している

ポインテッドノーズは雪面に「鋭いスプレー」を引き出すための形状、短く丸いテールは取り回しと素早いリリースのための形状、と Gentemstick 公式は説明しています。テーパーは 2.5mm(ノーズ−テール)と極小で、見た目はほぼツインに近いディレクショナル。キャンバー量は0mm(フラット) で、雪面に板全体を「乗せる」ような独特の挙動になります。サイドカットはデュアルラジアス(12,840mm / 11,450mm/約12.8m と約11.5m) で、ターン中に半径が切り替わることで弧の途中から自然に巻き込んでくる動きをします。

スペック

項目T.T 165 Classic(24-25現行)
Length(全長)1,650mm
Running Length970mm
Effective Edge1,174mm
Nose Width277mm
Waist Width248mm
Tail Width272mm
Sidecut Radius12,840 / 11,450mm(デュアルラジアス・約12.8m / 11.5m)
Sidecut Depth14.5mm
Setback-20mm(テール側へ20mm)
Tapered2.5mm(極小、ほぼツインに近い)
Camber0mm(フラット)
Stance Width450–530mm
Recommended Stance490mm

データソース:Gentemstick 公式 24-25 T.T 165 CLASSIC ページ。シェイプは1990年設計のため、1990年代のオリジナル数値と現行値の間に大きな差はないと推察されますが、1998年当時のカタログ計測値を直接確認可能なソースは見当たらず、本表は確証可能な現行値(24-25)に限定しています。

年代を通じての変化メモ

  • 1990年:Taro Tamai が TT のシェイプを設計
  • 1998年10月:Gentemstick ブランド発足、TT 1モデル20本でスタート
  • 2000年:同社初のスワローテール「Mantaray」が登場、TT はラウンドテール系として継続
  • 〜2020年:初代モールドで継続生産。長さ・幅・輪郭は1998年からほぼ不変
  • 2021年:初代モールドが寿命に達し、ノーズ〜最大幅のラインを再整理した新モールドへ更新(モダンクラシック輪郭は維持)
  • 現行(24-25/25-26):T.T 165 Classic を中心に、TT 158 / 160 / 165 SF(Soft Flex)/ 168 の派生サイズが並行展開

評価

  • スノーサーフ哲学を体現:低速トラバース、ノーズスラッシュ、ロー姿勢でのターン――サーフボードの動きをそのまま雪面で再現することを狙った設計。リフトアクセスの整地で「速く曲がる」ためではなく、フィールド全体を「波と見立てて読む」ための一枚
  • フラットキャンバー+デュアルラジアスの独特な挙動:エッジに極端に乗せ込むのではなく、板全体を雪面に置いてからじわっと荷重を移すと、デュアルラジアスの内側半径(11.45m)が後半で巻き込んでくる――ターン後半のリリースが速い、と複数の試乗レビューで共通する評価
  • パウダーでの浮き:ノーズが長く幅広いためノーズ落ちは起きにくいが、テーパーが2.5mmと小さいので「Burton Fish のように後ろ足を放っておいても浮く」タイプではない。乗り手側の重心移動でノーズに浮力を呼ぶ設計
  • 整地での印象:ウエスト 248mm は当時の主流より細く、現代基準でも標準的。エッジホールド自体は十分だが、ハードパックでガリガリ削るよりも、薄く積もった上を滑らせる場面でこそ持ち味が出る
  • 限界:競技フリースタイル、グラトリ、ハイスピードのカービング競技にはそもそも向かない。Gentemstick 自身が「スノーサーフ」というカテゴリを別物として定義していることを前提に選ぶ一枚

使用ライダー

  • Taro Tamai(玉井太朗):Gentemstick 創業者本人。1981年スノーボード開始、1990年にニセコへ移住、TT のシェイプを同年に設計。Patagonia アンバサダー、サーフボードシェイパーでもある。Gerry Lopez は Tamai を「日本の Craig Kelly」と呼んでいる
  • Niseko ベースのスノーサーフコミュニティ:Tamai を中心とするニセコのフリーライダー/映像作家/フォトグラファー/山岳ガイド層が、TT を含む Gentemstick の各モデルを常用
  • Travis Rice / Alex Yoder ら:Gentemstick のボードに乗る場面が映像・記事で確認されている海外の著名ライダー。専属契約ではなく、ニセコでの撮影・ライディング時に Gentemstick を選択するケースが報じられている

スノーサーフシーンでの存在感

  • 同類カテゴリ:Moss Snowstick PQ シリーズ、Korua Shapes Pencil/Käsper、Burton Fish(2002〜)、K2 Cool Bean、Jones Mind Expander といった「サーフ/パウダー特化のディレクショナル」群が同じ棚に並ぶ
  • TT の位置:これらの中で Gentemstick は 「最も早期から、量産フリーライド/フリースタイルの主流とは別系譜として、スノーサーフを商品化したブランド」 の代表格。Burton Fish より4年早い1998年に、しかも年産20本という少量生産で原器を市場に置いた点が他社とは決定的に違う
  • モダンクラシックという呼び方:Gentemstick 自身が公式ページで使う表現で、「30年経っても古びない、むしろ標準化されつつある形」というブランドの自己認識を表す。Korua の Pencil/Burton の Fish 3D/Moss の PQ など2010年代以降のスノーサーフ系の輪郭が、結局 TT が1990〜1998年に提示した方向に収斂してきている、というのがシーン全体を俯瞰した評価

参考文献

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