Gentemstick Stingray
マンタレイの3年後に構想、5年のR&Dを経て世に出たビッグマウンテン版スノーサーフ
Gentemstick のビッグマウンテン系ディレクショナル「Stingray」の解説――2003年発表のMantarayと同時にセカンドコンセプト「Big Mountain Mantaray」として構想され、5年のチューニングを経てIndependentシリーズに追加された一枚です。テーパーを抑えサイドカット半径を大きく取ることで、急斜面や高速域での安定したカービングに振ったシェイプになっています
「Stingray」は、北海道・ニセコ発のスノーサーフブランド Gentemstick が Independent シリーズに位置づけるビッグマウンテン系ディレクショナル。看板モデル「Mantaray」の派生ではなく、Mantaray が世に出た2003年の段階ですでに「Big Mountain Mantaray」という第2コンセプトとして存在していたという、やや珍しい成り立ちを持つ板です。
ブランドの成り立ちと初登場:2003年構想、5年越しのリリース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発元 | Gentemstick(1998年、北海道ニセコで Taro Tamai が創業) |
| 構想の起点 | 2003年、Mantaray 発売と同時に「Big Mountain Mantaray」のコンセプトとして存在 |
| 開発期間 | ベースシェイプ確定後、約5年間のチューニングを重ねてリリース |
| 位置づけ | Mantaray と並ぶ Independent シリーズのラインナップに追加 |
| 設計意図 | テーパーを抑え、サイドカット半径を Mantaray より大きく取ることで、急斜面や大きなターン弧に対応 |
Gentemstick 公式の製品ページ(2020-21・2023-24 の両年式アーカイブで同一文言を確認)は、この経緯を次のように説明しています。「The concept for the Stingray already existed as the “Big Mountain Mantaray” when the Mantaray was released in 2003. Less taper and bigger sidecut radius to match steeper slopes and draw bigger lines. We spent 5 years of R&D to fine-tune this concept, and finally released the Stingray in addition to the Mantaray lineup.」(出典: Gentemstick 公式製品ページ)。2003年起点+5年のR&Dという記述から逆算すると初回リリースは2008年前後と推測されますが、Gentemstick 公式は具体的な発売年を明記していないため、本記事では「構想から5年後」という一次資料の表現のまま記載し、断定はしていません。
シェイプ

画像:Gentemstick Stingray(2023-24シーズンモデル、トップシート)
出典:Gentemstick 公式(gentemstick.com)
Stingray のシルエットは Mantaray と同じ「ビッグスクエアーノーズ+ラウンド系テール」の系譜にありながら、セットバックをやや控え、サイドカット半径を大きく取ったのが最大の違いです。Gentemstick 公式のコンセプト文では「ダブルエンダーに近い感覚」とも表現され、Mantaray がタイトな樹林帯やパウダーでのルースな挙動に寄せているのに対し、Stingray はオープンバーンでの高速カービングと急斜面のライン取りに振っています。キャンバープロファイルは「Short Camber」に分類され、公式スペック上のキャンバー高は1mmとごく浅く、接地点付近から始まる短いキャンバーと組み合わされています。
スペック(Mantarayとの比較)
Gentemstick 公式の製品ページ(2020-21・2023-24モデル、両年式で数値は共通)に掲載されているサイズ155のスペックです。Mantaray(2021-22モデル)と並べています。
| 項目 | Stingray | Mantaray |
|---|---|---|
| 全長 | 1550mm | 1540mm |
| 実質長(Running Length) | 950mm | 950mm |
| 有効エッジ | 1180mm | 1180mm |
| ノーズ幅 | 306mm | 312mm |
| ウエスト幅 | 257mm | 258mm |
| テール幅 | 282mm | 290mm |
| サイドカット半径 | 8600mm(8.6m) | 7150mm(7.15m) |
| テーパー | 12mm | 11mm |
| サイドカット深さ | 24.5mm | 27mm |
| キャンバー高 | 1mm | 1mm |
| スタンス幅 | 480〜560mm | 480〜560mm |
| 推奨スタンス | 520mm | 520mm |
| セットバック | −35mm | −35mm |
データソース:Gentemstick 公式製品ページ(Wayback Machine 保存の2020-21・2023-24年式アーカイブ)記載のスペック表より。両年式で数値の変動はなく、Stingray は長期間同一スペックで供給されているモデルであることが確認できます。サイドカット半径は Stingray 8.6m/Mantaray 7.15mと、Stingray のほうが約1.45m大きく、公式コンセプト文の「bigger sidecut radius」と整合します。一方でテーパー量はStingray 12mm/Mantaray 11mmとほぼ同等で、ノーズ幅とテール幅の絶対値はStingrayのほうが両方とも狭い(=板全体がやや細身)という特徴が数値上に表れています。
サイズ展開
Gentemstick の Stingray は、Independent シリーズの中でも155cm 1サイズのみという展開が長年続いているモデルです(2020-21・2023-24 両年式アーカイブで確認)。近年は姉妹モデルとして「Baby Stingray」(151cm、女性・小柄ライダー向け)や、バックカントリー対応の「Stingray Chopsticks(スプリットボード)」がラインに加わっていますが、フラッグシップのソリッド Stingray は一貫して155cmのみです。
評価
- TheGoodRide のレビュー(2015〜2019年モデル対象)は、Stingray を「super set back tapered Mantaray(強いセットバックとテーパーを持つMantaray)に、少しだけセットバックを抑えてダブルエンダー寄りの感覚を加えたモデル」と位置づけています。カービング 4/5・スピード 4/5・ベースグライド 5/5と高速滑走系の評価が高い一方、パウダー 3.5/5・不整地 2.5/5・スイッチ 2.5/5と、Mantaray譲りの深雪適性を残しつつも万能型ではないことを示しています(出典: TheGoodRide)
- Gentemstick 公式ページに掲載されたユーザーレビュー(2023-24年式ページ)では、「independentシリーズ中、最も高速域で走れるボード」「パウダーからカービングまで何でもこなせる」といった評が複数寄せられており、オープンバーンでの高速安定性を評価する声が目立ちます
- Gentemstick とライバル関係にある Mantaray との比較記事(experience-review.com)では、Stingray はビンディング位置がより前寄りであることも指摘されており、これが高速域での取り回しのしやすさにつながっているとされています
ビッグマウンテンシーンでの存在感
Mantaray が「タイトな樹林帯・小さな地形の遊び場」を象徴するモデルだとすれば、Stingray は同じ Gentemstick のスノーサーフ思想を開けた急斜面・高速のビッグマウンテン用途に翻訳したモデルという立ち位置です。北海道のニセコをはじめとする豪雪地の大斜面や、本州の斜度のある非圧雪バーンで長年使われ続けており、Independent シリーズの中でも息の長いラインナップの一つです。Gentemstick は大手ブランドのようなプロチームを前面に出さず、ニセコを拠点とする一般ライダーのレビューを製品ページに掲載するスタイルを続けており、Stingray もそうした草の根の支持に支えられているモデルといえます。
参考文献
- Gentemstick Stingray 2020-2021 製品ページ(Wayback Machine アーカイブ)
- Gentemstick Stingray 2023-2024 製品ページ(Wayback Machine アーカイブ)
- Gentemstick Mantaray 2021-2022 製品ページ(Wayback Machine アーカイブ)
- Gentemstick Stingray Snowboard 2020 — evo
- Gentemstick Stingray 2015-2019 Snowboard Review — TheGoodRide
- 【徹底比較】ゲンテン MantarayとStingrayの選び方 — experience-review.com
- Niseko snowboard icon Gentemstick celebrates 20 years — Niseko United
- What Is Snowsurf? An Interview With Gentemstick Founder, Taro Tamai — Mountainwatch


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