Lib Tech T.Rice Gold Member
Travis Riceが「The Fourth Phase」の撮影で乗り込んだ、軽量Firepower構造の攻撃的フリーライド機
Lib Tech「T.Rice Gold Member」の解説――T.Rice Proの系譜から派生した、セットバック付きディレクショナルツインと軽量Firepowerコアの高速フリーライド機。2016年モデルと2021年モデルのスペック、評価、スプリットボード版までの流れ
「T.Rice Gold Member」は、Lib Tech と Travis Rice の共同ラインから生まれたバックカントリー向けのフリーライド機です。看板の T.Rice Pro(2005/06シーズン初登場)が「パワーフリースタイルのディレクショナルツイン」を担うのに対し、Gold Member は同じ思想をセットバック付きの形と軽量コアで尖らせ、バックカントリーでの高速滑走と大きなエアに振り切りました。Whitelines によると、Rice は映画「The Fourth Phase」の撮影期間にこの板へ多く乗っていました。
位置づけ:T.Rice Pro との違い
| 項目 | T.Rice Pro | T.Rice Gold Member |
|---|---|---|
| 初登場 | 2005/2006シーズン(Lib Tech 公式) | 確認できる最古の資料は2016年モデル(後述) |
| 役割 | パワーフリースタイルのディレクショナルツイン | バックカントリーの高速滑走とビッグエア |
| 形 | ディレクショナルツイン | ディレクショナルツイン+セットバック、テールにノッチ(切り欠き) |
| コア | 年式でコア構成が異なる | Firepower(FP)構造の軽量コア |
Gold Member の正確な初年は確認できていません。小売店 evo の最古の掲載は2016年モデル、the good ride のレビューは2016〜2019年モデルを対象としています。the good ride の画像ギャラリーには「2015」の区分もありますが、2015年モデルの仕様を記した資料は見つかりませんでした。なお、その2015ギャラリーの画像ファイル名には「1415」を含むものがあり、2014/15年のカタログ素材を示している可能性はありますが、初年は未確認という判断は変えていません。
シェイプと構造
evo・Whitelines とも形状を Directional Twin と分類しています。2016年モデルの販売説明では、テール側を「Directional Tapered Notch Swallowtail」と表記しています。ノーズ幅とテール幅は同じ値で公表されており、幅で絞るテーパーは付けていません。スタンスを後ろに下げて、深雪ではノーズを浮かせる設計です。
構造の中心は Firepower(FP)構造。evo の2016年モデルの説明では Travis Rice が設計に関わった Lib Tech で最も軽い構造とされ、ノーズとテールを特に軽くして空中での回転の重さ(スイングウェイト)を抑えます。Whitelines は、この構造が高価格の主な理由だと書いています。

画像:Lib Tech T.Rice Gold Member(2016年モデル)
出典:Lib Tech の製品画像(the good ride 掲載)
スペックの変遷
| 項目 | 2016年モデル(FP XC2 BTX) | 2019〜2021年モデル(FP C2X) |
|---|---|---|
| キャンバー | XC2 BTX:足元の間に短く強いロッカー、両足の外側にキャンバー | C2X:ロッカーをさらに短くし、キャンバーを足元寄りに配置 |
| コア | Firepower:アスペンの芯をパウロニアと Columbian Gold 材で挟み、中央にエンドグレインのバルサ | Firepower:アスペン50%/パウロニア40%/バルサ10% |
| 補強 | 3軸・2軸のファイバーグラス、バサルト | 3軸ファイバーグラス、45度のバサルトウェブ、バサルト |
| ベース | シンタード | シンタード(Eco Sublimated Sintered) |
| エッジ | Magne-Traction(波形エッジ) | Magne-Traction |
| フレックス | 硬め(10段階中6、サイズにより変化) | 硬め(evo の表記。説明文には「Medium」の記載もあり、資料内で揺れ) |
| 価格(定価) | $749(the good ride)/£600(Whitelines。2016/17年モデル) | $799.99(evo 2021年モデル) |
サイズチャート(2021年モデル)
| サイズ | 有効エッジ | ノーズ幅 | ウエスト幅 | テール幅 | サイドカット半径 | セットバック |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 157cm | 1150mm | 302mm | 258mm | 302mm | 8.2m | 0.75インチ(約19mm) |
| 159cm | 1170mm | 303mm | 260mm | 303mm | 8.2m | 0.75インチ(約19mm) |
| 163cm | 1220mm | 305mm | 264mm | 305mm | 8.2m | 0.75インチ(約19mm) |
データソース:evo の2021年モデル製品ページ(サイズ別スペック)。evo の2021年サイズ表では163cmのウエスト幅を265mmとしており、1mmの差があります。テーパー量はノーズ幅とテール幅が同じため0mm。the good ride もセットバックを約20mmとしています。
evo の2016年モデルは155/159/161cm、Whitelines の2016/17年モデルは155/158/163cm で、年式またはサイズ展開が異なる可能性があります。evo の2016年モデルのセットバック表記(2.5インチ)も他資料と合わないため、ここでは採用していません。
評価
the good ride のテレイン評価(2016〜2019年モデル、5点満点):
| テレイン | スコア |
|---|---|
| スピード | 4.5 |
| パイプ | 4.0 |
| カービング | 3.5 |
| ジャンプ | 3.5 |
| スイッチ | 3.0 |
| 滑走性(ベース) | 3.0 |
| パウダー | 2.5 |
| 荒れた雪面 | 2.5 |
| ジビング | 1.5 |
いちばん高いのはスピード。the good ride は「まっすぐ速く走ること、強いエッジホールド、足元がロッカーにしては強いカービング」と特徴をまとめ、全体を「ディレクショナルで攻撃的なオールマウンテン機」と評しています。パウダー評価は平均点の2.5で、深雪で浮かせることに特化した板ではありません。Whitelines のテスターは自信のあるライダー向けとしつつ、経験者なら乗りこなせて、思ったほど硬くないとまとめています。
rideType をパウダーではなくビッグマウンテンとしたのは、この評価と、evo の説明がバックカントリーのキッカーでの大きなエアと見事な滑降を用途に挙げているためです。
スプリットボード版と、その後
- Whitelines によると、2016/17シーズンに**スプリットボード版(T.Rice Gold Member Split)**が加わった
- evo の2021年サイズ表には、ソリッド版(157/159/163cm)とスプリット版(159/163cm)が並んで載っている
- 同じ Travis Rice の系譜では、パウダー寄りの役割を2018-19シーズン登場の Lib Tech Orca が担う。Gold Member が「速さとエア」、Orca が「浮力と短く乗る」と役割が分かれている
- 足元をロッカーにしてキャンバーと組み合わせる Lib Tech の考え方の出発点は、Lib Tech Skate Banana で解説している
- 同じく急斜面の直進性を重視した板として、セットバック付きのディレクショナル機 Jones Flagship と比べると、Gold Member はスイッチやパイプにも対応する「ツイン寄り」の位置にある
参考文献
- Lib Tech Travis Rice Gold Member Snowboard Review(the good ride)
- Lib Tech Travis Rice Gold Member 2016-2019 Snowboard Review(the good ride)
- Lib Tech Travis Rice Gold Member 2016-2017(Whitelines)
- Lib Tech T.Rice Gold Member FP XC2 BTX Snowboard 2016(evo)
- Lib Tech T.Rice Gold Member FP C2X Snowboard 2021(evo)
- Lib Tech T.Rice Gold Member FP C2X Snowboard 2019(evo)
- Lib Tech Snowboard Size Chart 2021(evo)
- Travis Rice Collection/20 Years of T.Rice Pro(Lib Tech 公式)
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