Nidecker Legend

1887年創業のスイス最古参ブランドが放った、テーパード・ディレクショナルのビッグマウンテンフリーライド機

Nideckerビッグマウンテンフリーライドスイス

スイスの家具・スキーメーカーとして1887年に創業したNideckerが1984年にスノーボード市場へ参入し、その後長年ラインナップした「Legend」の解説です。World Freeride Tourチームによる開発、テーパード・ディレクショナルシェイプ、Freeride CamRockキャンバーなど、フリーライド専用機としての設計思想と年代ごとの仕様変遷を紹介します


Nidecker(ニデッカー)は1887年、スイス・レマン湖畔のエトワでHenri Nidecker(アンリ・ニデッカー1世)が興した木工・農具メーカーを起源とするブランドです(出典: Heritage — NDK Swiss 公式)。1912年に息子のHenri IIがスキー製造へ、1946年には孫のHenri IIIが世界初の複合材(アッシュ材とヒッコリー材)スキーを開発するなど、木材加工の技術を代々受け継いできました。1984年、スイス・ロールの工房で手作りされた50枚のスノーボードが同社初のロットとして出荷され、現存する欧州最古のスノーボードブランドとなっています(出典: Nidecker — Wikipedia(英語版)40 years of Nidecker Snowboards — Absolute-Snow)。「Legend」はそのフリーライドラインを代表するモデルとして長年展開されてきた一枚です。

ブランドの歩みと技術史

Nideckerは1980〜90年代にスノーボード産業の技術革新を複数リードしてきました。**1990年に業界初の非対称形状(アシンメトリック)**を発表し、**1993年には現在のロッカー設計の前身とされる「ダブルフレックスコントロール」**を導入。1990年代半ばには自社を「世界第2位のスノーボードメーカー」と位置づけるまでに成長し、契約ライダーは1986年のアルパインスノーボード世界杯でも優勝を果たしています(出典: 40 years of Nidecker Snowboards — Absolute-Snow)。2011年以降はJones・YES・NOWなど傘下のシグネチャーブランド展開に軸足を移し、Legendはこの技術系譜の上にある伝統的な自社ブランドのフリーライドモデルという位置づけです。

シェイプ

Nidecker Legend のトップデッキ(左、木目調にシェブロン柄)とベース(右、黒地に山岳グラフィック)

画像:Nidecker Legend(2016年モデル)トップデッキ/ベース
出典:Snowboard-Review.com

Legendはわずかにテーパーを持たせたディレクショナルシェイプに、20mm以上のセットバックを組み合わせた設計です。テーパーとセットバックにより実寸より短いボードのような操作性を出しつつ、ノーズ側の面積でサイズなりの浮力を確保する狙いがあります(出典: 2014 Nidecker Legend Review And Buying Advice — The Good Ride)。開発にはWorld Freeride Tourの契約チームが関与しており、グルーマーからパウダーまで幅広い斜面条件を想定したピュアなフリーライド機として設計されています(出典: Nidecker Legend 2009/2010 — SnowDB.comNidecker Legend 2016 — Snowboard-Review.com)。

2012年モデル以降はFreeride CamRock(センターキャンバー+ノーズ・テールロッカーのハイブリッドプロファイル)へ移行し、パウダーでの浮力をより得やすい仕様に更新されました。エッジには波状の刻みを入れた「Ultimate Grip」のシリエイテッドエッジ技術が採用され、アイスバーンでのグリップ力向上に寄与しています(出典: 2014 Nidecker Legend Review And Buying Advice — The Good Ride)。

スペック(2009/2010年モデル基準)

項目 164cm 168cm 174cm
全長 1640mm 1680mm 1740mm
有効エッジ 1200mm 1240mm 1300mm
サイドカット半径 7.4m 7.4m 7.6m
ノーズ幅 305mm 313mm 314mm
ウエスト幅 251mm 256mm 254mm
テール幅 301mm 308mm 312mm
セットバック 35mm(全サイズ共通)
基準スタンス幅 470〜500mm(サイズ別)
フレックス ソフト寄り(指数8)
シェイプ ピンテール・ディレクショナル

データソース:Nidecker Legend 2009/2010 — SnowDB.com

2012年以降のモデルではフレックスが「ミディアム〜スティッフ」寄りに変更され、構造もFreeride CamRockキャンバー・9000シンタードベース・アルミ製チッププロテクター・Freeflex 2.0チップを組み合わせた仕様に刷新されています。2016年モデルのカタログ表記では「Swiss Core」「BCK」「Light Core」といったコア構造名が併記されており、年式ごとにコア構成が調整されてきたことがうかがえます(出典: Nidecker Legend 2016 — Snowboard-Review.com)。

情報源によって年式ごとのフレックス表記・コア名称に差異があり、本記事では2009/2010年モデルの実測値を基準表とし、以降の変更点は各年式レビューの記述に基づいて注記しています。Legendは2013年にラインナップから一度外れ、2014年に新シェイプで復活した経緯があります(出典: Nidecker Legend snowboard — 検索結果各社レビュー総合)。

評価

  • 高速域とパウダーの両立: The Good Rideのレビューでは、グルーマーとパウダーの両方で高い評価を得ており、「フラットな緩斜面でも他のライダーを引き離す」浮力性能が特徴として挙げられている
  • 対象ライダーレンジ: 上級からエキスパート向けのフリーライド機。ブーツサイズはUS8〜12に対応するサイズ展開
  • エッジグリップ: Ultimate Gripのシリエイテッドエッジ技術により、アイスバーンでのホールド力に定評がある一方、パーク・フリースタイル志向のボードではない

参考文献

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