Yes. PYL

2012年デビュー、テーパード・アンダーバイトが切り拓いたビッグマウンテン一本勝負機

Yes.ビッグマウンテンDCPテーパード・アンダーバイトディレクショナル

Yes. Snowboards のフラッグシップ「PYL(Pick Your Line)」の解説です。共同創業者 David Carrier-Porcheron(DCP)が乗り続けるディレクショナル機で、2012年の初登場後、2016年にサイドカットを3段階で切り替える独自技術「テーパード・アンダーバイト」を導入し、テーパー由来の浮力とハードパックのエッジホールドを両立させました


「PYL」は Yes. Snowboards のディレクショナル・フラッグシップ。名前は「Pick Your Line(好きなラインを選べ)」の略で、共同創業者の一人 David Carrier-Porcheron(通称 DCP) が長年メインボードとして乗り続けているモデルです。2012年に初登場し、2016年に導入された「テーパード・アンダーバイト」というサイドカット構造で、急斜面のパウダーからグルーマーまでを一本でこなす方向性を明確にしました。

初登場:2012年、DCP・Romain De Marchi・JP Solberg の Yes. から

項目 内容
ブランド創業 2009年、スイスを拠点に David Carrier-Porcheron・Romain De Marchi・JP Solberg の3人のプロライダーが設立
PYL 初登場 2012年(2012/13シーズン)
開発関与 David Carrier-Porcheron(DCP)――Yes. 共同創業者、PYL を自身のメインボードとして継続使用
モデル名の由来 Pick Your Line(好きなラインを選べ)の略
立ち位置 バックカントリーのパウダーラインから急斜面、グルーマーまでを一本でこなす「ワンボード・クイバー」ディレクショナル

初期(2012〜2015年)はオーストリアの GST 社で製造され、より攻撃的なカービング志向のセッティングでした。2016年に製造を SWS 社へ移し、このタイミングで後述の「テーパード・アンダーバイト」を導入しています。

シェイプ:テーパード・アンダーバイト

PYL の核心技術は サイドカットを3段階の半径に分割する「テーパード・アンダーバイト(Tapered UnderBite)」。ノーズ側から順に約8m→7m→6mと半径が段階的にタイトになり、各段の切り替え地点でエッジが横方向に2mmずつ内側へ「ステップイン」します。通常、板にテーパー(ノーズ幅>テール幅)を付けるとテール側のエッジホールドが犠牲になりますが、PYL はテール側ほどサイドカットを深くすることでこの弱点を打ち消し、テーパーによる浮力とハードパックのグリップを両立させる狙いです。

Yes. PYL 2025年モデル(左:トップデッキ/右:ベース)——ノーズ寄りにセットバックしたディレクショナル形状

画像:Yes. PYL(2025年モデル)
出典:Yes. Snowboards 公式サイト(yessnowboards.com)

プロファイルは Directional CamRock(1-4-2)――ビンディング間はキャンバー、ノーズとテールはロッカーという構成で、キャンバーの反発力とロッカーの浮力・引っ掛かりにくさを両立します。コアはポプラとポーリニアの混合ウッドコア、グラスは Triax。テーパー量は約6mmと控えめで、セットバックも -2.65インチ(約67mm)とフリーライド機としては小さめに抑えられています。

スペック(2023年モデル基準)

サイズ 有効エッジ ウエスト幅 サイドカット半径 テーパー
156cm 116cm 250mm 7.6 / 6.7 / 5.8m 5.5mm
159cm 118cm 253mm 7.8 / 6.9 / 6.0m 5.6mm
160cm W 119cm 260mm 7.8 / 6.9 / 6.0m 5.5mm
162cm 120.5cm 255mm 8.0 / 7.1 / 6.2m 5.6mm
164cm W 123cm 265mm 8.0 / 7.1 / 6.2m 5.3mm
165cm 123cm 258mm 8.1 / 7.2 / 6.3m 5.6mm
項目 内容
プロファイル Directional CamRock(1-4-2、ビンディング間キャンバー+ノーズ・テールロッカー)
コア ポプラ+ポーリニア混合ウッドコア
構造 Triax グラスファイバー
フレックス(10段階) 7〜8(中〜スティッフ、年式により硬化傾向)
セットバック 約67mm(-2.65インチ、全サイズ共通)
サイズ展開 156 / 159 / 160W / 162 / 164W / 165cm
推奨体重(156〜165cm) 59〜99kg超(サイズ別)

データソース: snowboardrobot.com PYL レビューterrasport.lt 製品ページ。年式間で数値がわずかに変動するため、2023年モデルの数値に統一して記載しています。

評価

  • エッジ・トゥ・エッジの速さ:thegoodride のレビューでは「very quick edge to edge」と評され、木立の間や切り返しの多い斜面での取り回しの良さが繰り返し指摘されています
  • 急斜面のパウダーに強い「ビッグマウンテン・パウダーボード」:同レビューは PYL を「great big mountain powder board」と表現する一方、「低角度の浅いパウダーでは浮きにくい(doesn’t float very well in low angle powder)」と明記しており、傾斜のある地形でこそ本領を発揮するタイプです
  • カービング適性の高さ:Whitelines のテスターは「on piste the PYL made me want to charge faster」と評し、フレックス9/10(2015/16モデル)という硬さがオンピステでの高速カービングを後押ししています
  • オールラウンドな一本勝負機:DCP 自身がバックカントリーのパウダーラインから急斜面、グルーマーまでこれ一本で乗り続けている点が、ブランドが掲げる「ワンボード・クイバー」というコンセプトを裏付けています
  • 不得意な場面:パークやジブは「Poor」評価、スイッチライディングも「Average」止まりで、フリースタイル用途には向きません

使用ライダー

  • David Carrier-Porcheron(DCP):Yes. 共同創業者の一人。Romain De Marchi・JP Solberg とともに2009年にブランドを設立し、PYL を自身の長年のメインボードとして使用し続けています

ビッグマウンテンシーンでの存在感

  • 同カテゴリで比較されるモデル:Rossignol XV(Xavier de Le Rue シグネチャー)、Jones Storm Chaser、Lib Tech T.Rice Gold Member などが「急斜面・フリーライド特化のディレクショナル」として同じ棚に並びます
  • PYL の立ち位置:これらの中で PYL は、パーク志向のフレックスやツイン形状に振らず、創業者自身が実戦で使い込むことで開発を続けてきた叩き上げのフリーライド機という物語性が特徴です。2012年の登場から10年以上、テーパード・アンダーバイトという独自機構を軸にモデルチェンジを重ねながらラインナップの核であり続けています

参考文献

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