
ドリップ式・エスプレッソマシン・フレンチプレスは仕組みがどう違うか
浸漬式・透過式・加圧透過式という3つの抽出原理の違いが、器具選びの土台になる
コーヒーを淹れる主要な抽出方式を比較します。SCA(スペシャルティコーヒー協会)の定義によるエスプレッソの9〜10気圧・20〜30秒という加圧抽出、ドリップメーカーの非加圧方式、フレンチプレスの全浸漬方式の違いを一次資料で整理します
この記事の要点
- コーヒーの抽出方式は大きく「浸漬式」(フレンチプレス)「透過式」(ドリップ)「加圧透過式」(エスプレッソ)の3系統に分かれる
- SCA(スペシャルティコーヒー協会)の定義でエスプレッソは7〜9gの粉に9〜10気圧の湯を20〜30秒通し25〜35mlを抽出する飲み物とされる
- ドリップメーカーは重力による自然落下で湯を通す非加圧方式、抽出に数分かかる
- フレンチプレスは湯と粉を数分間そのまま浸す全浸漬方式で、加圧工程を持たない
- 抽出方式が変わると適正な挽き目・粉量・抽出時間も変わるため、機種選びは挽き目の目安と連動させる必要がある
「ドリップメーカーとエスプレッソマシン、どちらを買えばいいか」という質問は、実は「どんな味を求めるか」の質問と表裏一体です。抽出方式が違えば、必要な挽き目も抽出時間もまったく別物になります。ここでは代表的な3方式——浸漬式・透過式・加圧透過式——の原理を一次資料ベースで整理します。
抽出方式は3系統に分かれる
コーヒーの抽出方式は、湯と粉の接触のさせ方で大きく3つに分類できます。
| 方式 | 代表的な器具 | 原理 | 圧力 |
|---|---|---|---|
| 浸漬式 | フレンチプレス | 湯に粉を数分間浸す | なし |
| 透過式 | ドリップメーカー・V60等 | 粉の層に湯を通過させる | なし(重力のみ) |
| 加圧透過式 | エスプレッソマシン | 加圧した湯を粉の層に強制的に通す | 9〜10気圧 |
エスプレッソマシン: 加圧透過式
SCA(スペシャルティコーヒー協会)は、25 Magazineで公開している定義の中でエスプレッソを「7〜9gの粉に、摂氏90.5〜96.1度(華氏195〜205度)の湯を9〜10気圧で通し、20〜30秒かけて25〜35mlを抽出する飲み物」としています。市販機の中には15気圧・19気圧といった数値を謳う製品もありますが、これはポンプが出せる最大圧力であり、実際にコーヒー粉に到達する圧力は多くの機種で9気圧前後に調整される仕組みです。短時間・高圧・細挽きという組み合わせが、他方式にはない濃厚な質感とクレマ(表面の泡)を生みます。
ドリップメーカー: 透過式(非加圧)
ドリップメーカーは、加熱した湯を粉の層の上から注ぎ、重力による自然落下だけで下のサーバーへ通す非加圧方式です。エスプレッソのような強制的な圧力はかからないため、抽出には数分単位の時間がかかります。湯温の目安や比率の考え方はV60等の手動ドリッパーと共通で、コーヒーを淹れる湯温は何度がベストか、コーヒーの豆と水の比率は何対何が正解かで扱っている基準がそのまま当てはまります。
フレンチプレス: 浸漬式
フレンチプレスは、湯と粉をポットの中でそのまま数分間浸す「浸漬式」です。透過式・加圧透過式のように湯が粉の層を一方向に通過するのではなく、粉全体が湯に浸った状態で成分が抽出されます。粉と湯を分離する際に使うのは金属メッシュのプランジャーで、ペーパーフィルターより目が粗いため微粉や油分が通過しやすく、これがフレンチプレス特有のコクのある質感につながります。フィルターの違いによる味わいの差はV60・カリタウェーブ・ケメックスは味にどんな違いが出るかで詳しく扱っています。
方式が変われば挽き目も変える
抽出方式ごとに湯と粉が接触する時間が違うため、適正な挽き目のミクロン数も変わります。目安はエスプレッソが180〜380ミクロン、ドリップが400〜950ミクロン、フレンチプレスが1000〜1200ミクロン程度とされています。同じ豆・同じ焙煎度でも、方式を変えたら挽き目を連動して見直さないと、狙った濃さと抽出収率にはなりません。ミクロン数の一覧はコーヒーの挽き目は抽出方法でどう変えればいいかにまとめています。
まとめ
エスプレッソマシンは9〜10気圧の加圧透過式、ドリップメーカーは重力による非加圧の透過式、フレンチプレスは全浸漬式——3方式は原理そのものが異なり、優劣ではなく求める味わいで選ぶものです。方式を選んだら、挽き目・比率・湯温を方式に合わせて調整することが、器具の性能を引き出す前提になります。
参考文献・情報ソース
- Specialty Coffee Association — Defining the Ever-Changing Espresso(25 Magazine, Issue 3)
- Specialty Coffee Association — Coffee Standards
- SCA Standard 310-2021 — Home Coffee Brewers(Golden Cup Standard)
- Coffee Guide — Coffee Brewing Methods Comparison Chart: Immersion, Percolation & Pressure
- 1Zpresso — Pour-Over vs. 5 Popular Brewing Methods
よくある質問
- エスプレッソマシンとドリップメーカーは何が根本的に違いますか
- 圧力の有無です。SCA(スペシャルティコーヒー協会)はエスプレッソを「7〜9gの粉に9〜10気圧の湯を20〜30秒通して25〜35mlを抽出する飲み物」と定義しています。ドリップメーカーは重力による自然落下だけで湯を通す非加圧方式で、抽出に数分かかります
- フレンチプレスはドリップ式やエスプレッソとどう違いますか
- フレンチプレスは湯と粉を数分間そのまま浸す「浸漬式」で、透過(ドリップ)や加圧透過(エスプレッソ)とは原理が異なります。金属フィルターを使うため微粉や油分がカップに残りやすく、抽出方式そのものが味わいの差につながります
- 抽出方式が違うと挽き目も変える必要がありますか
- はい。接触時間や圧力が違えば適正な挽き目のミクロン数も変わります。目安はエスプレッソが180〜380ミクロン、ドリップが400〜950ミクロン、フレンチプレスが1000〜1200ミクロン程度とされ、抽出方式を変えたら挽き目も連動して見直す必要があります
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