フローレス バジャワ
火山の恵みと独自ウェットハルが彩るインドネシア最後の秘境コーヒー
インドネシア・フローレス島バジャワ高地は標高1,200〜1,800mの火山性土壌に広がる新興スペシャルティ産地。ギリン・バサ(ウェットハル)精製が生むりんごのような酸・ブラウンシュガー・シナモンの風味が国際バイヤーを惹きつける
産地情報
| 産地 | インドネシア・フローレス島 バジャワ(Bajawa / Ngada District) |
|---|---|
| 品種 | S-795 / ティピカ(Typica)/ カティモール(Catimor)/ ティモール・ハイブリッド |
| 標高 | 1,200〜1,800m(一部圃場では最大2,000m超) |
| 味わい | 青りんご・ブラウンシュガー・シナモン・チョコレート・ほのかなナッツ感・クリーンな余韻 |
品種情報
品種:S-795
1940〜50年代にインドのセントラル・コーヒー・リサーチ・インスティテュート(CCRI)で「ケント(Kent)」とS.288を掛け合わせて育成されたアラビカ改良種。葉さびへの耐性と高標高適性を兼ね備え、インドから東南アジア各地に普及した。フローレスには1970〜80年代の政府奨励事業で導入され、ティピカとともに現在のバジャワ産の主力品種となっている。適切な標高で栽培するとブラウンシュガーのような甘みと明瞭な酸が特徴的に発現する
- インド起源のケント×S.288交配
- 葉さびへの耐性と高標高適性を両立
- 東南アジアの主力品種として定着
- ブラウンシュガーの甘みと明瞭な酸が発現
フローレス バジャワとは
フローレス島(ポルトガル語で「花の島」の意)は、バリ島から東へ約500kmに位置するインドネシア東ヌサ・トゥンガラ州の島だ。島の中央部に連なる**イネリエ火山(2,245m)やエブロボ火山(2,124m)**の活動がもたらした火山性土壌の上に、主要産地バジャワ(Ngada District)の茶園が広がる。
生産地の標高は1,200〜1,800m、高所では2,000mを超える圃場もあり、赤道近傍ながら涼しい気候と昼夜の温度差がコーヒーチェリーの熟成をゆっくり進める。年間降水量は1,500〜2,000mmで、乾湿季のメリハリが豆の糖度を高める要因となっている。
スペシャルティとしての台頭
フローレスコーヒーが国際スペシャルティ市場で脚光を浴びるようになったのは2000年代後半から2010年代にかけてのことだ。マンガライ(Manggarai)地域のフローレスアラビカは2015年インドネシア・アラビカ・スペシャルティコーヒーコンテストで初代チャンピオンを獲得し、2018年フランス・SIALパリ展示会のAVPA Gourmet Product Awardでブロンズメダルを受賞。バジャワのカフゴ・マサ協同組合のロットは国際カッピングで85〜86ポイントを記録するなど、品質の確かさが実証されてきた。
小農家と村単位の生産体制
バジャワの生産はNgadaレゲンシー内の14の農家グループが中心で、各グループには50〜100世帯が参加する。農家一戸あたりの栽培面積は小さく、収穫から精製まで村単位で行われるため産地のトレーサビリティが高い。収穫期は5月〜9月が主で、伝統的なギリン・バサ(ウェットハル)精製が大半を占める。近年はウォッシュドや蜜製法(ハニー)ロットも少量生産され、スペシャルティバイヤーの注目を集めている。
代表的な生産者・農園
代表的な農園
- カフゴ・マサ協同組合 Kahgo Masa Cooperative🏆 インターナショナルカッピング 85〜86ポイント達成ロット複数
Ngadaレゲンシーの農家グループを束ねるバジャワ最大規模の協同組合。国際カッピングで85〜86ポイントを記録するロットを産出し、欧米のスペシャルティロースターへの輸出実績を持つ。Sucafina社など大手グリーンコーヒー商社を通じて日本・欧米市場に流通。伝統的ウェットハルに加えフルウォッシュドロットの試験生産にも取り組む
- イネリエ山麓 農家グループ連合 Mt. Inerie Smallholder Producer Groups
イネリエ火山(標高2,245m)の南麓から西麓にかけて14グループ700世帯超が点在する農家連合。火山性土壌と標高差を活かした多様なロットを生産。各グループが村内の共同パルパーを用いてチェリー処理を行い、乾燥は棚干し(アフリカンベッド)で実施している
- マンガライ・アラビカコーヒー農業法人(MPIGKAFM) MPIGKAFM — Manggarai Arabica Coffee Producer Group🏆 2015年 インドネシア・アラビカ・スペシャルティコーヒーコンテスト 初代チャンピオン産地
ルテン周辺のマンガライ地域に特化した生産者法人。2015年インドネシア・アラビカ・スペシャルティコーヒーコンテストで初代チャンピオンを輩出した産地を支える組織。ウォッシュドおよびハニー精製に対応し、チョコレート・ブラックチェリー・カラメルのフレーバーで知られるマンガライロットを国内外に出荷する
精製方法
精製方法
ウェットハル
Wet-Hulled / Giling Basah
インドネシア特有の製法。アーシーでトロリとしたボディ。土・木のニュアンス
フローレスで主流となる**ギリン・バサ(Giling Basah / ウェットハル)**はインドネシア固有の精製法だ。収穫したチェリーを果肉除去し、約12時間の発酵と水洗いを経たのち、通常の乾燥工程の半分ほどで脱穀機に投入する(水分含有量30〜35%の段階)。湿ったままパーチメントを剥ぐことで豆が外気と直接触れ、特有の青みがかった豆色と、スモーキーでアーシーな風味の素地が形成される。
バジャワの場合、適度な標高と昼夜の温度差がこの工程の乾燥を安定させ、スラウェシやスマトラに比べてよりクリーンでブライトな酸が残りやすい傾向がある。近年はウォッシュドや蜜精製も試験導入され、産地の風味バリエーションが広がっている。
フレーバーチャート
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:91〜94℃
- 挽き目:中挽き(ウェットハル由来のボディを活かすなら中細挽きも可)
- 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(クリーンさを重視するならペーパードリップ、ボディを引き出すならフレンチプレス)
- 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → りんごの酸とシナモンが際立つ、14g → チョコレートとブラウンシュガーが前に出る)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
参考文献・情報ソース
- Indonesia Specialty Coffee — Flores Bajawa & Manggarai: Exploring Flores Coffee
- Sweet Maria's Coffee Library — Flores Coffee Overview
- Sucafina — Flores Bajawa Wet-Hulled Origin Profile
- USDA Foreign Agricultural Service — Indonesia Coffee Annual
- MPIGKAFM — Manggarai Arabica Coffee Producer Group
- Flores Island Coffee — Origin
- Komodo Padar Tour — Flores Coffee: Indonesia's World-Class Brew from the Heart of the Island
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