Burton Custom

1995/96シーズンデビュー、単一モデル歴代最多販売を誇るオールマウンテンの基準機

BurtonオールマウンテンキャンバーディレクショナルツインAyumu Hirano

1995年1月にBurton社内で披露され、1995/96シーズンに市場投入されたBurton Custom。パウダー・圧雪バーン・パークを一枚でこなす汎用性が支持され、単一モデルとして歴代最多販売数を記録しています。2023年のX Gamesでは平野歩夢が本機で世界初のトリプルコークを競技成功させ、30年近く経った現在も現役のフラッグシップです


「Custom」は Burton Snowboards のオールマウンテン・フラッグシップ。1995年1月の社内ミーティングでお披露目され、1995/96シーズンに初めて店頭に並びました。パウダー・圧雪バーン・パーク・パイプのすべてで一定水準の走りを出せる「一枚で完結するボード」というコンセプトで開発され、Burton 公式は「スノーボード史上、単一モデルとして最も長く販売され続け、最も売れた一枚」と位置付けています。

誕生の経緯:1994年8月、ワナカでの2週間テスト

項目 内容
プロトタイプテスト 1994年8月、Burton のテストコーディネーター John “JG” Gerndt とチームライダー Dave Downing がニュージーランド・ワナカへ渡航、14本のプロトタイプを持ち込む
テスト内容 Downing がパウダーフィールド・圧雪バーン・キャットトラック・サイドヒットで各プロトタイプを2週間走らせる
開発チーム Paul Fidrych(当時の Burton エンジニア/プロダクトマネージャー)、Dave Dodge(R&D、ファイバーグラス開発)、John “JG” Gerndt(テスト統括)
開発目標 「スピンに十分軽く、パウダーで浮き、どんなコンディションでもエッジが立つ、最も汎用性の高い一枚」
初期の支持者 Dave Downing・Joe Curtes がプロトタイプを強く支持し、より上位グレードの一枚として推進
名前の由来 初期のトップシート表記は「Custom Air」。すぐに「Custom」へ短縮され、この名称が定着
デビュー 1995/96シーズン、初年度グラフィックは虹と蝶をあしらった「Pegasus」

(出典:Burton公式ブログ「From Prototype to Icon: The Burton Custom Turns 30」)

シェイプ(シルエット)

Burton Custom Camber スノーボード(2025/26シーズンモデル):左がトップシート(白地・BURTONロゴ)、右がベース(黒地・蛍光グリーンのBURTONロゴ)

画像:Burton Custom Camber(2025/26シーズンモデル)
出典:Burton Snowboards 製品画像(getboards.com 取扱店経由)

Custom の形状は ディレクショナルツイン。ノーズ幅とテール幅は完全に同一(ツイン形状)ですが、スタンスをテール側へ 12.5mm セットバックさせることで、ディレクショナルな乗り味を作っています。プロファイルはトラディショナルキャンバー(バインディング間で正の反り)。1996年の初代モデルはコアを競合比 38% 軽量化し、シンタードベースを採用したツインチップ形状で、低スピン重量と全山対応の汎用性を両立させていました(出典:snowboardcollector.com)。

スペック(Custom Camber、2025/26シーズン・156cm)

項目 内容
全長(Running Length) 1145mm
有効エッジ 1195mm
サイドカット半径 7.8m
ノーズ幅 294.3mm
ウエスト幅 252mm
テール幅 294.3mm
テーパー量 0mm(ノーズ幅=テール幅の完全ツイン形状。ディレクショナル性はセットバックのみで作る)
セットバック 12.5mm
ベント トラディショナルキャンバー
フレックス 6(10段階、中)
コア Super Fly II™ 700G Core(Dualzone EGD、FSC認証ウッド)
構造 Triaxファイバーグラス+Carbon I-Beam(45°配置)
ベース Sintered WFO Base

Burton は他ブランドで一般的な「全長(ノーズ〜テールの物理長)」ではなく、「Running Length(実接雪長)」を主要スペックとして公表する独自の慣習を持ちます。本表の「全長」は Burton 公式表記の Running Length を指し、ノーズ・テールの反り上がり分は含みません。データソースは getboards.com(Burton 2025/26 卸データ準拠)・theskimonster.com・boardoftheworld.com のレビュー内で確認できる公式スペック値です。

サイズバリエーション

Custom Camber(2025/26シーズン)150 / 154 / 156 / 158 / 162cm のレギュラー展開と、154W / 158W / 162W / 166W / 170W のワイド展開。156cm の対象体重目安は 68〜91kg(Burton公式)。サイズが上がるごとに有効エッジ・サイドカット半径ともに拡大していく設計です。

現在の Burton ラインでは「Custom」単体ではなく、Custom Camber(本記事のベース)・Custom X Camber(より硬い上位版)・Custom Flying V(ロッカー混成の柔らかめ版)・Custom Twin の4系統に分かれて展開されています。

30年の進化年表

出来事
1994年8月 ワナカ(ニュージーランド)で14本のプロトタイプをテスト
1995年1月 Burton 営業会議でお披露目
1995/96 初代 Custom「Pegasus」デビュー
1998 SuperFly II コア導入
2000 Engineered Grain Direction(EGD)採用
2004 上位グレード「Custom X」発売
2006 10周年、WFO シンタードベース追加
2007 Vaporskin 構造導入
2008 Custom/Custom X にワイドサイズ追加
2010 Squeezebox テック、V-Rocker プロファイル導入
2011 ロッカー混成の「Custom Flying V」発売
2012〜2014 限定グラフィック「Restricted Customs」展開
2016 20周年、レトロトップシート復刻
2018 ノーズ・テール先端を角ばった形状に変更
2021 Mikkel Bang が Custom で Natural Selection Alaska 優勝
2023 X Games で平野歩夢が Custom で世界初のトリプルコークを競技成功

(出典:Burton公式ブログ「From Prototype to Icon: The Burton Custom Turns 30」)

評価

  • オールラウンド性:the good ride は現行 Custom Camber を「ターンとエア動作に強い、テクニカル向けの一枚」と評価。一方で近年主流のハイブリッドプロファイル勢と比べると、パウダーでの浮力とハードスノーでのエッジホールドは相対的に見劣りすると指摘し、「かつてのようなワンボードクイバーではなくなった」とも総括しています
  • ポップとハードパック:中間フレックスながら反発力は強く、オーリーやターンの立ち上がりでの弾みが評価点。Frost Bite エッジ形状(0.5mm×0.5mmの微細加工)を採用するが、上位のエッジホールド性能を持つ競合と比べると中堅程度
  • ベース性能:リサイクル材を含むシンタードベースで、滑走性を保つには Burton 純正ワックスでのメンテナンスが推奨されるとレビューで言及

使用ライダー

  • Dave Downing:1994年のワナカ・プロトタイプテストを担当したチームライダー。Joe Curtes とともに初期プロトタイプを強く支持し、上位グレード化を後押しした
  • Joe Curtes:90年代後半の Burton フリーライドシーンを牽引した一人。Downing とともに初期 Custom の推進役
  • Aleksi Vanninen、Jason Brown、Ryan Williams、Brad Scheuffele:Custom が「Downing と Curtes だけの板」から普及していく過程で採用したライダー群
  • Bryan Iguchi、Victoria Jealouse:90年代後半、フリーライド/バックカントリーシーンでの採用がさらに Custom の評価を押し上げた
  • Heikki Sorsa、Mads Jonsson、Mason Aguirre:グラフィックと文化的な発信力の面で Custom を牽引した世代。Mads Jonsson は2009年に187フィート(約57m)のバックサイドエアを記録
  • Mikkel Bang:2021年、Custom で Natural Selection Alaska(フリーライド系大会)優勝
  • 平野歩夢(Ayumu Hirano):Burton 公式プロフィールで Custom Camber を使用と明記。2023年 X Games では Custom で世界初のトリプルコークを競技成功させた

オールマウンテン機としての存在感

  • パウダー特化の Fish・フリーライド特化の Supermodel と並び、1996年に Burton がほぼ同時期に投入したオールラウンド版が Custom という位置付け。Fish・Supermodel がそれぞれ深雪・フリーライドに振っているのに対し、Custom はゲレンデ全域を一枚でこなす方向に振っています
  • 発売から30年近く経った現在もカタログに残り続ける数少ない「単一モデル名の長寿ライン」で、Custom Camber・Custom X・Custom Flying V・Custom Twin と派生を広げながら世代交代を続けています
  • 競合の同カテゴリー機としては Nidecker Legend(欧州老舗のオールラウンド機)、Salomon Burner などが挙げられ、いずれもキャンバー主体・ディレクショナルまたはディレクショナルツイン形状で市場を分け合う構図です

参考文献

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