Burton Fish
スワローテールの代名詞、2002年デビューのパウダー専用ボード
Burton Snowboards のパウダー専用ボード「Fish」。2002年に Terje Haakonsen のシグネチャー「First Fish 56」として登場し、2017/18 シーズンで標準 Fish ラインは一旦終了、現在は「Fish 3D」が後継として展開されている
「Fish」は Burton Snowboards のパウダー専用ボードシリーズ。2002 年に Terje Haakonsen のシグネチャーモデル「First Fish 56」として登場し、2017/18 シーズンまで標準 Fish が継続、その後数年の空白を経て 「Fish 3D」が現行モデルとして 2020/21 頃から展開されています。標準 Fish と Fish 3D は同時期に併売されておらず、世代として連続するものです。
初登場:2002 年「First Fish 56」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初登場年 | 2002 年(2002/03 シーズン) |
| 開発関与 | Terje Haakonsen のシグネチャーモデル |
| 設計の動機 | Snowboarder Magazine 2002年10月号によれば、Terje が “サーフのように乗れる板” を求め、Jake Burton のクローゼットの古いシェイプから着想を得て生まれた |
| 立ち位置 | 大手メーカー初の本格パウダー特化スワローテールの市販化 |
First Fish 56 の 詳細スペック(センチ単位の有効エッジ・サイドカット半径等)は、2002年カタログを直接参照可能なソースが見当たらず、本記事では公表値が確認できる年式の数値のみを記載しています。2007〜2012 期に検証できる数値が安定しており、初代もこれに近いと推察されますが、確証はありません。
シェイプ(シルエット)
Fish の特徴は 「太く丸いノーズ」「やや細いウエスト」「テール側でわずかに広がってから V 字に切り込まれるスワローテール」「強いセットバック」「ノーズ−テールで30mmのテーパー」 の組み合わせ。実物の製品写真でシルエットを確認します。
標準 Fish:シングル・スワローテール

画像:Burton Fish 156cm(2011/2012シーズンモデル)
出典:SnowDB.com(Burton 2011/2012 カタログ画像)
※ ボード下端に V 字スワローテールが明瞭に確認できる代表画像として選定
下部に深い V 字のスワローテール、上部に丸い大きなノーズ。ノーズ→ウエスト→テールにかけてのテーパーが明瞭に見えます。
Fish 3D:ダブル・スワローテール(W字状)

画像:Burton Fish 3D(2024/25シーズンモデル)
出典:Salty Peaks(Burton公式取扱店)プロダクト画像(rainpos.com 経由)
テール側に 2つの V カット とその間の小さな突起(ダブルスワロー)が確認できます。標準 Fish の V 字テールから明確に進化しているポイントです。
Mystery Fish:2018/19 単年の橋渡しモデル

画像:Burton Family Tree Mystery Fish(156cm/2018-19シーズン)
出典:Styrus(Burton 2019 取扱店プロダクト画像、cdn.shopify.com 経由)
※ ライダー所有ボードのスナップショット。クリーンなスタジオ写真ではないが、特徴的な黒基調+テールの白円グラフィックが視認できる
標準 Fish が休止した 2018/19 シーズンに1年だけ販売された限定モデル。シルエットは標準 Fish の DNA を踏襲しつつ、Burton の Family Tree 上位ラインの「Mystery」シリーズとして Mystery Glass(ロボット成形のカーボンレイアップ)と 超軽量 Dragonfly コアを投入し、軽さとレスポンスを徹底的に追い込んだ “コンセプト機”。テールはシングルではなく Short Swallow Tail(標準 Fish より浅め)に振り、フレックスを 7/10 と硬めに、プロファイルを Directional Flat Top + ロッカーノーズに変更した。Whitelines のレビューは「今後の Burton 製造プロセスの未来予告」と評し、当時の希望小売価格は £1,199 / €1,499 と Burton ラインナップ最上位帯。翌2019/20 で終売、後継は Fish 3D を待つことになる。
※ 製品写真は各小売店の公開素材を参照。Burton 公式の最新画像はBurton 公式アーカイブで確認できます。
※ 上記製品画像の著作権は撮影元・Burton Snowboards に帰属します。本記事は批評・解説目的での参照引用です。権利者からの削除要請があれば速やかに対応します。
スペック(156cm 比較)
「Fish」の標準ラインは2002〜2017の長期にわたりほぼ同一の設計思想で展開されていました。2002–2017 を「標準 Fish 期」として一つの世代にまとめ、橋渡しの Mystery Fish(2018/19)と現行 Fish 3D を並列比較します。
| 項目 | 標準 Fish(2002–2017) | Mystery Fish(2018/19のみ) | Fish 3D(2020/21–現行) |
|---|---|---|---|
| 全長(156cm) | 1535–1560mm(年で微変動) | 1560mm(156cm) | 1560mm |
| 有効エッジ | 1200mm(2007–2012で確認、Modified期は1170mm) | データ非公開 | 1095mm |
| ノーズ幅 | 312mm(2007–2012、Modified期は307mm) | データ非公開 | 315.3mm |
| ウエスト幅 | 255mm(2007–2012、Modified期は254mm) | 260mm | 260mm |
| テール幅 | 282mm(2007–2012で確認) | データ非公開 | 285.3mm |
| サイドカット半径 | 7.86m(2007–2012、Modified期は8.4m) | 6.1m(156cm)/6.4m(161cm) | 6.1m |
| テーパー量 | 30mm(ノーズ − テール) | 30mm | 30mm |
| セットバック | 75mm(2007–2012、Modified期は約50mm) | 約50mm(公式表記 -2in) | 50mm(Burton公式表記は「−50mm」、テール側へのオフセット量) |
| ベント | 初期は伝統キャンバー、2010 以降 S-Rocker、Modified期は Directional Flat Top | Directional Flat Top + ロッカーノーズ | Directional Flat Top |
| テール形状 | シングル・スワローテール(V字) | Short Swallow Tail(浅めV字、リアサイドカット縮小) | ダブル・スワローテール(W字状) |
| フレックス (10段階) | 5–6(柔らかめ〜中) | 7(やや硬め) | 6(中) |
| コア | 通常コア(年式により Super Fly/Fly/FSC) | Dragonfly™ コア(超軽量)+Multizone EGD+Squeezebox | Dragonfly/Super Fly 系 |
| 構造 | Triax グラスファイバー(年式により Carbon I-Beam 追加) | Mystery Glass(ロボット成形カーボンレイアップ)+Carbon I-Beam | Triax+Carbon I-Beam |
| ベース | Sintered WFO Base(高密度焼結+ワックス含浸、Burton 上位機標準) | Sintered Methlon Base(最高グレード) | Sintered WFO Base |
| サイズ展開 | 156 / 160 / 164cm(150cm 復活年あり) | 151 / 156(限定) | 146 / 151 / 156 / 161cm |
標準 Fish 期(2002–2017)の年代内ミニ変化メモ
- 2002: First Fish 56 デビュー(Terje Haakonsen シグネチャー)
- 2007–2012: 上記スペック値で安定(年式間でほぼ同一)
- 2010 シーズン: キャンバープロファイルが S-Rocker に切替
- 2012 シーズン: 150cm サイズが再導入される
- 2015–2017: 派生モデル「Modified Fish」が登場(有効エッジ1170mm/サイドカット8.4m/セットバック約50mmと、標準よりやや短く扱いやすい振り)。標準 Fish との完全な並行展開かは年により異なる
- 2018/19: 標準 Fish 休止、Mystery Fish が単年限定で代替(Mystery Glass+Dragonfly コア、151/156 のみ、最上位価格帯)
- 2019/20: Mystery Fish も終売、One Hitter/Backseat Driver にラインが分散
- 2020/21〜: Fish 3D が現行モデルとして登場
標準 Fish → Fish 3D への変化
- 有効エッジ: 1200mm → 1095mm(同じ表記長でも有効エッジは短縮、ハンドリング性向上方向)
- ウエスト幅: 255mm → 260mm へ若干拡大
- サイドカット半径: 7.86m → 6.1m と大幅短縮(よりタイトに曲がる)
- テーパー量 30mm はほぼ変わらず継承(Fish の DNA)
- テール: 単純な V → W字状のダブルスワロー へ進化
- フレックス: 一貫して柔らかめ〜中
データソースは末尾の参考文献セクション参照(SnowDB.com の各年式エントリで検証)。
サイズバリエーション
標準 Fish(2007–2012 年代) は 156 / 160 / 164 cm の3サイズ展開。156 cm の体重目安は54–88kg、年式により微細な変動あり。2012年に 150cm が再導入された記録もあり、過去には小柄ライダー向けサイズも存在しました。
Modified Fish(2015–2017 年) は 156 / 160 cm などで展開。
Fish 3D(2025 モデル) は 146 / 151 / 156 / 161 cm の4サイズ展開。146=45–68kg、151=54–82kg、156=68–91kg、161=82kg 以上、と公式公開(Burton 公式・evo・Melbourne Snowboard 等)。
標準 Fish と Fish 3D の関係(時系列)
| シーズン | ラインナップ |
|---|---|
| 2002/03 | First Fish 56 デビュー(Terje シグネチャー) |
| 2003〜2017 | 標準 Fish が継続(2010 年以降は S-Rocker 採用、2015–2017 は Modified Fish も並行) |
| 2018/19 | 標準 Fish は休止、Mystery Fish が代替展開 |
| 2019/20 | Mystery Fish も終了、One Hitter / Backseat Driver に分散 |
| 2020/21〜現行 | Fish 3D が後継として登場、現在 Burton ラインナップでの「Fish」系は 3D のみ |
→ 標準 Fish と Fish 3D は同時期に売られていません。世代として連続するものです。
評価
- 深雪適性: ノーズが自然に浮き、後ろ足の負担が少ない。「ツリーラン+深雪」の定番
- ハードパック: スワローテールの分エッジが短く、本領発揮の場面ではない(深雪のためのボードという割り切りが明確)
- 取り回し: 同等長のオールマウンテン板より短めセッティングで使うのが推奨(メーカー説明で「3〜6cm 短く」と表現された記録あり)
- the good ride のレビュー: Fish 3D のパウダーレーティング 10/10。レビュアーは “one incredibly fun slashy quick turning little fish”(とびきり楽しく、スラッシュ&クイックターンが効くフィッシュ)と表現し、深雪での圧倒的な浮力(“Amazing Float”)と、エッジ to エッジの素早い切り返し(“quick slashy turning”)を高く評価している
使用ライダー
- Terje Haakonsen — 初代 First Fish 56 のシグネチャーモデル提供。ISF World Championships ハーフパイプ三連覇(1993, 1995, 1997)後、フリーライド分野で Burton ブランドを牽引。Fish 系の継続的な開発関与で知られる
- John Jackson ほか、Burton チームのバックカントリー系ライダーが長年使用
パウダーボードシーンでの存在感
- 大手メーカー Burton が初めて市販化した本格パウダー特化スワローテール
- 同じパウダー特化カテゴリーで並ぶ代表的なボード(テーパー+スワローテール系の選択肢):
- K2 Cool Bean — 短く幅広・深いスワローテール、Fish と最も思想が近い K2 のパウダー特化モデル
- K2 Niseko Pleasures — ニセコ拠点のチームライダー Yo Amagai(天海洋)開発関与、パウダー+グルーマー両対応の日本フリーライド志向モデル(K2公式・EPIC Snowboarding Magazine 等で確認)
- Jones Mind Expander
- Lib Tech Orca、Rossignol XV 等
- ブリティッシュコロンビア(BC)州の大手ヘリスキーオペレーターでは「3D Fish のレンタル数が他のボード合計より多い」という記述が Snowboarding Forum にある、深雪レンタル現場の標準装備としての地位を示す逸話
参考文献
- Burton Snowboards History: An Innovation Timeline (Burton 公式)
- Burton 3D Fish Directional Flat Top Snowboard W25 (Burton 公式)
- Burton Fish 3D Size Chart (Melbourne Snowboard)
- Burton Fish 3D Snowboard 2025 (evo)
- Burton 3D Fish 2021–2024 Snowboard Review (the good ride)
- Burton Fish 2010–2018 Snowboard Review (the good ride)
- 2015-2016 Burton Modified Fish - Blister Review
- Burton Fish 2007/2008 (SnowDB.com)
- Burton Fish LTD 2008/2009 (SnowDB.com)
- Burton Fish 2009/2010 (SnowDB.com)
- Burton Fish 2010/2011 (SnowDB.com)
- Burton Fish 2011/2012 (SnowDB.com)
- Burton Mystery Fish 2018-2019 Snowboard Review (Whitelines)
- Burton Mystery Fish review (Freeride.com)
- Burton Family Tree Mystery Fish — Tactics 製品ページ
- Burton Family Tree Line Snowboards 2019 Reviews (Tactics)
- Burton 2019 Sneak Peek (Styrus, Mystery Fish 画像出典)
- TERJE HAAKONSEN (History of Snowboarding online)
- 2003 Freeride Boards (Snowboarder Magazine archive)
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