Burton Supermodel

90年代後半〜2010年代前半のフリーライドを定義した一枚――テーパード・キャンバーの基準機

BurtonフリーライドキャンバーテーパードCraig Kelly

1996/97シーズンに登場した Burton Supermodel。Burton 量産モデル初のキャップ構造と Super Fly Core を投入し、後年は Powder Fly II Core へと進化。Craig Kelly のフリーライド DNA と Johan Olofsson のビッグマウンテン路線を象徴する一枚として、約15年にわたりフリーライド帯のベンチマークとして君臨した


「Supermodel」は Burton Snowboards のフリーライド向けディレクショナルボード。1996/97シーズンに登場し、2010/11シーズン頃まで標準ラインで継続、その後の数年間 Mid Wide/Channel 派生を残して 2012/13 を最後にカタログから消えた長寿モデルです。Burton にとっては、量産モデル初のキャップ構造と「Super Fly Core」を実装した先駆けであり、Craig Kelly のフリーライド志向を量販帯に落とし込んだ象徴的な一枚でした。

初登場:1996/97 シーズン

項目 内容
初登場年 1996/97 シーズン
開発関与 Craig Kelly が設計に大きくインプット(公式シグネチャーモデルではないが、フリーライド DNA は Kelly のもの)
構造の革新 Burton 量産モデル初の キャップ構造(コア外周をフィバーグラスで全周封止する「true cap」)/Super Fly Core(先端〜テールで38%軽量化)
立ち位置 Burton Custom のフリーライド版――ディレクショナル+テーパーで深雪寄りの守備範囲

1996/97 のオリジナル Supermodel は 156cm 時点でウエスト幅 238mm と非常に細身でした。当時の小〜中サイズのブーツ向け設計で、サイズ9以下が推奨。それ以上の足には 181cm を選ぶか、カスタムボードが必要、と当時の販促資料に記載されています(snowboardcollector.com)。

シェイプ(シルエット)

Supermodel の特徴は 「やや幅広のノーズ」「ややテーパード(ノーズ−テールで10mm)」「セットバック 2.5cm」「キャンバー」「中フレックス」 の組み合わせ。深雪での浮力と、ハードパック・カービングの安定性を両立する設計です。

  • ディレクショナル:ノーズが長く、テールが短い
  • テーパー 10mm:ノーズ幅 − テール幅で約 10mm 差
  • セットバック 2.5cm:スタンス中心からテール側へ寄せる
  • キャンバー:ハイブリッド全盛期以前の「全面キャンバー」プロファイル

Supermodel:1996/97 オリジナル(標準ライン)

Burton Supermodel fifty six (156cm) 1996/97年モデル:トップデッキ(左)とベース(右)

画像:Burton Supermodel “fifty six”(156cm/1996-97シーズン)
出典:snowboardcollector.com(1996年 Burton カタログ写真)
※ トップデッキ(左)はティールベースに雲&フローラルのグラフィック、ベース(右)は雲のグラデーション

ロング・ディレクショナルなシルエットに、ティールベースとフローラル&雲のグラフィック。ブランドロゴはブルーのバートン B、Cap 構造(外周ファイバーグラス封止)と Super Fly コアでデビュー世代の標準を打ち立てた。

Supermodel X:2007/08 上位グレード(〜2010/11、4シーズン)

Burton Supermodel X 2009/10年モデル:青ベースに白の「BURTON」ロゴと黒トップデッキに緑Bマーク

画像:Burton Supermodel X(156cm/2009-10シーズン)
出典:SnowDB.com(Burton 2009/10 カタログ写真)
※ Supermodel X は 2007/08 デビュー〜2010/11 までの 4シーズン のみ販売された短命の上位モデル

標準 Supermodel をベースに、コアを Powder Fly III に強化、Carbon I-Beam 補強を追加し、フレックスを medium/stiff にした アグレッシブ寄りの上位モデル。サイズは 156 / 160 / 164cm の3展開で、標準より短めに振った設定。約4シーズンのみ 販売され、2010/11 を最後に Supermodel X Channel 派生も含めて終売。

※ Supermodel の販売期間中、Burton 公式の正式ボード写真は各シーズンで更新されています。1996〜2011 の長期にわたるため、本記事では数値が確認できる年式のみを引用します。

スペック(実測値が確認できる年式)

項目 1996/97 174cm 2007/08 159cm 2009/10 159cm
全長 1740mm 1590mm 1590mm
有効エッジ 1380mm(rec.skiing.snowboard アーカイブ計測値) 1198mm 1227mm
サイドカット半径 データ非公開 7.70m 7.92m
ノーズ幅 データ非公開 296mm 300mm
ウエスト幅 248mm(同上アーカイブ) 248mm 251mm
テール幅 データ非公開 286mm 290mm
テーパー量 やや大きめ(数値非公開) 10mm 10mm
セットバック データ非公開 データ非公開 データ非公開
ベント キャンバー(伝統的・全面) キャンバー キャンバー
重量(実測) 約 3.22kg(7.1 lb)(同上アーカイブ) データ非公開 データ非公開
フレックス 中(数値非公開) 6(中) 5(中)
コア Super Fly Core
(先端〜テールで38%軽量化)
Powder Fly II™ Core Powder Fly II 系
構造 Cap 構造(true cap)+3D インサート Cap+ファイバーグラス 同左
ベース データ非公開(当時の Burton は P-Tex 系を採用) Sintered WFO Base(高密度焼結+ワックス含浸) Sintered WFO Base(同左)

1996/97 のサイズ別ウエスト幅:156cm = 238mm、174cm = 248mm(共に snowboardcollector / rec.skiing.snowboard 参照)。当時の Burton 公式カタログには有効エッジ・サイドカット半径の数値表が無く、Burton コミュニティのアーカイブ計測値が事実上の一次情報源。

コア技術の世代と名称(重要):1996年デビュー時は「Super Fly Core」、2000年代後半には「Powder Fly II Core」、上位グレード Supermodel X では「Powder Fly III」と段階的に進化。“Powder Fly” は実在する Burton の公式コア技術名であり、carbon I-Beam 補強と組み合わせて「フローティングと吸振性の両立」を狙った設計(出典: evo Supermodel 2008 / the-house Supermodel X review)。

データソース:snowboardcollector.com(1996 156cm)/rec.skiing.snowboard アーカイブ “NoLimitz 71 vs. Burton Supermodel 74”(1996/97 174cm 計測値)/SnowDB.com 2007/08SnowDB.com 2009/10。1996/97 の詳細スペック(特にサイドカット半径・テーパー数値)は Burton 公式カタログにも数値表が存在せず、確証可能な値は本表に記載のものに限る。

年式間の主な変化

  • 1996/97:デビュー。Cap 構造+Super Fly Core を量産モデル初導入。サイズ 156 / 168 / 174 / 181cm、156cm のウエスト 238mm/174cm のウエスト 248mm・有効エッジ 1380mm・重量 約3.22kg と細身軽量
  • 2000年代前半:ウエスト幅は 248〜260mm 帯に拡大、現代的なブーツに対応
  • 2007/08:コア名称を Powder Fly II Core に整理、152〜172cm の6サイズ展開。同年に上位モデル「Supermodel X」が新登場(Powder Fly III+Carbon I-Beam の高剛性版)
  • 2009/10:155cm 追加で標準は5サイズに整理、エッジ・ノーズ寸法を微調整
  • 2010/11:「10mm テーパー+25mm セットバック」を明文化、フリーライド最終世代の完成形。Supermodel X もこのシーズンで終売(X は通算 4シーズン:2007/08〜2010/11)
  • 2011/12 以降:標準 Supermodel は終売、Mid Wide/Channel 派生のみ残存
  • 2012/13:派生も含めて Burton カタログから消滅

サイズバリエーション

初期(1996〜2000年代前半):156 / 162 / 168 / 181 cm 帯(年により変動)。

2007/08152 / 155 / 159 / 163 / 168 / 172 cm の6サイズ。152〜163 が標準帯、168〜172 はビッグマウンテン向け。

2009/10〜2010/11155 / 158 / 161 / 164 / 168 cm の5サイズに整理。

Mid Wide / Channel 派生(2010〜2012):159 / 161 / 164 / 167 cm 帯で、ウエスト幅を拡大した足ロング向け仕様。

評価

  • フリーライド適性:「ハードパックが速く、深雪も食ってくれる」と各レビューが共通評価。Burton Custom(オールラウンド)と Fish(深雪専用)の中間に位置するボードとして長く支持された
  • ハードパック:細めのウエストと中サイドカットでカービング感は良好。低速ではやや反応が鈍く感じるが、スピードを上げるほど安定感とエッジのキレが増し、高速域で本領を発揮するタイプ
  • オフピステ・パウダー:10mm テーパー+25mm セットバックで深雪でも前足の負担が比較的少ない。ただし Fish のような完全パウダー特化ではなく、あくまで「フリーライドの守備範囲を深雪まで伸ばす」設計
  • チャター(板の暴れ)耐性:Smooth Ride dampening system 搭載で、荒れた雪面のノイズを吸収しやすい。中〜上級向けの安心感
  • the good ride のレビュー(2010-2011):「ハイブリッドシェイプが普及する前の規範」と評し、現在の基準では古典的だが、当時のフリーライド帯では完成度が高かったと総括

使用ライダー

  • Craig Kelly(1966–2003):Supermodel 開発に大きくインプット。ISF World Championship 4回、US Open 3回優勝の伝説的フリーライダー。1991年に Burton 専属となり、1990年代後半のフリーライド DNA を Burton に持ち込んだ。Supermodel は Kelly のシグネチャーモデルではないが、Kelly の哲学を量産帯に展開した最初のキャンバスとして位置づけられる
  • Johan Olofsson(ヨハン・オロフソン、1976–):スウェーデン・イェリヴァレ出身のビッグマウンテン/フリーライダー。Burton には1990年代後半から 約8年間 専属契約。映画 TB5: Sik Trix (1996) や The Resistance (1998) のアラスカ・チューゴッチでの 35秒の連続ターン で世界に衝撃を与え、「パークの技をビッグマウンテンに持ち込んだ最初のライダーの1人」として歴史に刻まれた。Burton Supermodel/Custom 期のフリーライド・ビッグマウンテン路線を象徴する存在(WikipediaOnboard Magazine インタビュー
  • Jason Brown:90年代後半〜2000年代初頭のフリーライド/パウダーシーンで活躍した Burton チームライダー
  • Joe Curtes:1990年代後半の Burton フリーライドプロモーター
  • Sebu Kuhlberg:北欧フリーライドシーンの代表的ライダー

フリーライド帯における Supermodel の存在感

  • 大手メーカーの量産モデルでありながら Cap 構造・Super Fly コア・テーパード形状の3点を1996年に同時実装した先進機
  • 同じ「キャンバー+テーパード・ディレクショナル」フリーライド帯で並ぶ代表機
    • Burton Custom:1996年に Supermodel と同時期に登場した Burton のオールラウンド王道。Supermodel はこの「フリーライド/パウダー寄り」派生
    • Salomon Burner(2010年代):Supermodel に近い思想のフリーライド機としてレビュアー間で頻繁に比較
    • Nidecker Legend:欧州フリーライド帯の対抗馬。同じく直進安定性とカービング性能を重視
  • 後継機種:標準 Supermodel が 2011 で終了した後、Burton は同領域を Custom Flying VFlight Attendant で埋めていく流れ。Supermodel の DNA はそれらへの分散継承

参考文献

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