
ブラジル シャパーダ・ジアマンチーナ
原産地呼称を得た新興高地ナチュラル
バイーア州の高地シャパーダ・ジアマンチーナは2009年カップ・オブ・エクセレンス上位10のうち5席をピアタン産が占め注目された新興産地 2024年に原産地呼称を取得し、標高1,150〜1,400mのナチュラル精製がオレンジとパネラ糖の甘みを引き出す
産地情報
| 産地 | ブラジル・バイーア州 シャパーダ・ジアマンチーナ(ムクジェ、ピアタン、イビコアラ等24市町村) |
|---|---|
| 品種 | カトゥアイ(赤・黄)、カトゥカイ2SL(Catucaí 2SL)、トパージオ(Topázio) |
| 標高 | 1,150〜1,400m |
| 味わい | オレンジ・パネラ糖(未精製サトウキビ糖)・ハニーヌガー・ダークチョコレート・フローラルな香り |
品種情報
品種:カトゥアイ(Catuaí)
1949年にカンピーナス農業研究所(IAC)がムンド・ノーヴォとカトゥーラを交配して育成した品種。赤果と黄果の系統があり、樹高が低く倒伏に強いため密植・機械収穫に向く。シャパーダ・ジアマンチーナでは赤黄両系統が主力品種として栽培されている
- 低樹高で栽培・収穫効率が高い——ブラジル全土で最も普及した品種のひとつ
- 赤果系ベリー寄りの甘酸っぱさ、黄果系はより穏やかで丸い甘みが出やすい
- 倒伏・機械収穫耐性高い一方、さび病への耐性は品種改良前で弱い
品種情報
品種:カトゥカイ2SL(Catucaí 2SL)
イカツとカトゥアイを交配してファゼンダ・カトゥカイ(ミナスジェライス州)が育成した系統。シャパーダ・ジアマンチーナのピアタンでは小農家グループのロットに多く用いられ、パネラ糖(精製度の低いサトウキビ糖)を思わせる甘さと石果(ストーンフルーツ)系の酸を伴うカップに寄与する
- イカツ譲りの高い生産性とカトゥアイ譲りの低樹高を両立
- パネラ糖・ハニーヌガーを思わせる甘みが出やすい
- ピアタンの小農家7戸が構成する共同ロットの主力品種
シャパーダ・ジアマンチーナとは
シャパーダ・ジアマンチーナは、ブラジル北東部バイーア州の内陸、州都サルバドールから西へ約400kmに広がる高原地帯です。ムクジェ(Mucugê)・ピアタン(Piatã)・イビコアラ(Ibicoara)・ラゴア・ダマルガ・イガトゥ等を含む24市町村が2024年10月、ブラジル国立工業所有権院(INPI)から**原産地呼称(Denominação de Origem)**の認定を受け、バイーア州で初めてコーヒーがDO指定産地となりました。認定の根拠として、シャパーダ・ジアマンチーナ産の豆は他のバイーア州・ブラジル産と比べて有機酸・クロロゲン酸・脂質の含有量が高いという化学分析結果が示されています。
標高1,150〜1,400mの高原は乾季と雨季が明瞭な半乾燥気候で、収穫はほぼすべて手摘みです。ブラジル最大の生産州ミナスジェライスやサンパウロと違い機械化率が低く、家族経営の小規模農園が中心となっている点がこの産地の特徴です。バイーア州全体の年間生産量は約361万袋(60kg換算、コナブ2024年集計)ですが、そのうち大部分は南部の低地カカオ地帯や灌漑セラード地区が占め、シャパーダ・ジアマンチーナの手摘みナチュラルはごく小さな比率にとどまります。
2009年カップ・オブ・エクセレンスでの躍進
シャパーダ・ジアマンチーナが国際的に知られるきっかけとなったのが2009年のブラジル・カップ・オブ・エクセレンス(COE)です。この年の上位10ロットのうち5ロットをピアタン産の小農家グループが占め、それまでセラードやスール・デ・ミナスなど大規模農園が主役だったブラジルCOEに、標高1,300m超の家族経営産地が割って入りました。以後、ピアタンとムクジェの生産者が国際市場で継続的に評価されています。
代表的な農園・協同組合
代表的な農園
- ファゼンダ・プログレッソFazenda Progresso
1984年にボレ家が開拓した総面積530ヘクタールの農園。カトゥアイ144とトパージオを中心にナチュラル・パルプドナチュラル製法で仕上げ、2015年のカップ・オブ・エクセレンスで初出場15位入賞。2017年収穫ロットはアライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンスの品評会で87.17点を記録
- ピアタン小農家グループSmall Producers of Piatã
クリスチアーネ・キンテラ氏ら7戸の家族農家(各5〜10ヘクタール規模)が持ち寄るパルプドナチュラルのロット。カップ・オブ・エクセレンス共同創設者シルヴィオ・レイチ氏が品質選定に関わることで知られ、オレンジ・ハニーヌガー・トーストアーモンドの重なる甘さが特徴
- COOPERBIO(バイーア高原有機・ビオディナミ生産者協同組合)COOPERBIO — Cooperativa de Produtores Orgânicos e Biodinâmicos da Chapada Diamantina
1999年、それまで仲買人経由のみだった小規模生産者たちが結成した有機コーヒー生産者協同組合。イビコアラ・ビオディナミ協会(ABI)と連携し14農園が加盟、2016年以降に生産量を3倍に伸ばした
精製方法
精製方法
ナチュラル
Natural / Dry Process
フルーティーで甘みが強い。ベリー系の発酵感とワインのような複雑さ
シャパーダ・ジアマンチーナの多くの生産者は完熟チェリーをそのままパティオや乾燥棚に広げるナチュラル、または果肉のみ機械除去してミューシレージを残すパルプドナチュラルで仕上げます。ほぼすべての収穫が手摘みのため熟度の揃ったチェリーを選別しやすく、乾燥中の発酵管理も行き届きやすい点が、標高の高さと合わせてクリーンな甘みにつながっています。乾燥期間はナチュラルで2〜3週間程度が目安です。
フレーバーチャート
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:88〜92℃(中煎りでフローラルな香りと甘みを引き立てる中低温域)
- 挽き目:中挽き(ペーパードリップ標準)
- 抽出方法:ハリオV60等のペーパードリップ推奨。オレンジやパネラ糖の甘みが素直に立ち上がる
- 豆の量:12〜13g / 200ml(ナチュラル特有の甘みとボディを活かす中間値)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)をベースに、ナチュラルの甘みとボディを活かすため1:15〜1:17(12〜13g)を推奨
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)のうち中低温側88〜92℃を採用し、フローラルな香りを損なわず甘みを引き出す
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
ブラジルの他の銘柄については、ブラジル サントスNo.2(伝統的な等級区分による標準銘柄)、ブラジル セラード・ミネイロ(ブラジル初のDO認証産地)、ブラジル アルタ・モジアナ(パルプドナチュラル発祥地)も合わせてご覧ください。
参考文献・情報ソース
- Instituto Nacional da Propriedade Industrial (INPI) — Chapada Diamantina (BA) se torna a mais nova Denominação de Origem para café
- Sprudge — Cup of Excellence Brazil 2009 Results
- Melbourne Coffee Merchants — Fazenda Progresso Natural
- Melbourne Coffee Merchants — Small Producers of Piatã Lot 3
- Alliance for Coffee Excellence — Farm Directory 87.17 (Fazenda Progresso)
- Inter-American Foundation — Coffee & Chocolate (COOPERBIO)
- CONAB — Acompanhamento da Safra Brasileira de Café (série de boletins da safra)
- Ally Open — Coffee Varieties of Brazil (Topázio parentage)
コメント
コメントを書く