
ブラジル スル・ジ・ミナス
ミナスジェライス州南部の小農家の産地
ブラジル・ミナスジェライス州南部の産地。カトゥアイ・ムンド・ノーヴォ・イカツ・オバタなどが栽培され、ナチュラル精製のロットも流通する
産地情報
| 産地 | ブラジル・スル・ジ・ミナス(ミナスジェライス州南部) |
|---|---|
| 品種 | カトゥアイ(Catuaí)、ムンド・ノーヴォ(Mundo Novo)、イカツ(Icatu)、オバタ(Obatã) |
| 標高 | 高地(地域全体の標高範囲は一次資料で未確認) |
| 味わい | フルボディ・フルーティーな香り・穏やかな柑橘系の酸・キャラメルの甘み当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。 |
品種情報
品種:オバタ(Obatã IAC 1669-20)
ヴィラ・サルチとチモール・ハイブリッドの交配系統(H 361/4)を親に、ブラジル・カンピナス農業研究所(IAC)が育成し2000年に登録した品種。低樹高で密植に向き、サビ病(コーヒーさび病)への耐性を備える。スル・ジ・ミナスの小規模農家にとって、農薬コストを抑えながら安定した収量を確保できる実用品種として広まった
- 低樹高・広い葉で密植栽培に適し小農家の労力を軽減
- サビ病耐性により薬剤散布の手間とコストを抑えられる
- カトゥアイに匹敵する生産性とバランスの良いカップクオリティ
スル・ジ・ミナスとは
スル・ジ・ミナス(Sul de Minas/南ミナス)は、ブラジル南東部・ミナスジェライス州南部に広がる産地区域です。ブラジル地理統計院(IBGE)の地域区分では、南・南西ミナス(Sul/Sudoeste de Minas)メソ地域が146の市町村で構成されます(コーヒー産地としてのスル・ジ・ミナスの範囲と同一とは限りません)。年平均気温はおよそ22℃と温暖で、丘陵地に10〜100ヘクタール規模の小規模農家が密集しています。
主要品種はカトゥアイ・ムンド・ノーヴォ・イカツ・オバタで、いずれもブラジル農業研究機関(IAC)が育成した実用品種です。ヴァルジーニャ(Varginha)やトレス・ポンタス(Três Pontas)、グアシュペ(Guaxupé)、イリシネア(Ilicínea)といった市が主要な集積地として知られています。
ナチュラル精製のロット
スル・ジ・ミナスでは、収穫したチェリーを果肉ごと乾燥させるナチュラル精製のロットも流通しています。乾燥棚やコンクリートのパティオに広げて乾かす工程は同じですが、この地域の雨季・乾季や収穫の月、精製方法の比率、精製と風味の関係は、一次資料で確認できていません。
代表的な農園・協同組合
代表的な農園
- コオシュペ(Cooxupé)Cooperativa Regional de Cafeicultores em Guaxupé
1932年に農業信用組合として発足し、1957年に現体制へ改組。組合員2万1,000名超を抱えるコーヒー協同組合で、スル・ジ・ミナスを中心にセラード、マタス・ジ・ミナス、サンパウロ州メディア・モジアナ流域の360以上の市町村から集荷する。2016年には400万袋超を輸出した
- ファゼンダ・サンタ・マリアFazenda Santa Maria
農園側の家族による輸出会社TJ Coffee Importsの紹介によれば、イリシネアにある400ヘクタールの農園で、標高は1,340m、SCAカッピングスコア84点以上のコーヒーを生産する
- ファゼンダ・ウン(Fazenda Um)Fazenda Um
Um Coffee Co.の公式沿革によれば、2002年に南ミナスの農園を取得したことが同社の起点。ムンド・ノーヴォのナチュラル精製ロットを生産する
精製方法
精製方法
ナチュラル
Natural / Dry Process
フルーティーで甘みが強い。ベリー系の発酵感とワインのような複雑さ
スル・ジ・ミナスのナチュラルでは、完熟したチェリーを乾燥棚またはコンクリートパティオに薄く広げて乾燥させます。収穫の月、乾燥の日数、乾燥中に風味が生まれる仕組みは、一次資料で確認できていません。
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:88〜92℃(中低温域。当サイトの目安)
- 挽き目:中挽き〜中粗挽き(ペーパードリップ:中挽き、フレンチプレス:中粗挽き)
- 抽出方法:ハリオV60・メリタなどのペーパードリップ推奨。フレンチプレスでもフルボディの厚みが際立つ
- 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → 柑橘系の酸とフルーティーな香りが前面へ、14g → キャラメルの甘みとボディの厚みが際立つ)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)をベースに、甘みを感じやすくするため1:14〜1:16(12〜14g)を推奨
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)のうち中低温側88〜92℃を採用。酸と甘みのバランスを取る
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
ブラジルの他の銘柄については、ブラジル サントスNo.2(伝統的な等級区分による標準銘柄)やブラジル セラード・ミネイロ(原産地呼称〈DO〉の産地)、ブラジル アルタ・モジアナも合わせてご覧ください。
訂正(2026-09-29): 「国内生産の3割を担う」「国内コーヒー生産量の約3割」と記載していましたが、ブラジル国家食料供給公社(CONAB)の2024年ミナスジェライス州コーヒー報告を含め、対象地域と年次を特定してこの割合を裏付ける一次資料は確認できませんでした(CONABの地域区分と本記事のスル・ジ・ミナスも同一とは限りません)。一次資料で確認できなかったため削除しました。「ミナスジェライス州南部146市にまたがる」と記載していましたが、ブラジル地理統計院(IBGE)の資料で確認できた146は地域区分「南・南西ミナス(Sul/Sudoeste de Minas)」メソ地域の市町村数で、コーヒー産地の範囲と同一とは限らないため、IBGEの地域区分の数として書き改めました。「ブラジル最大の生産地」「産地の規模はブラジル最大級」は一次資料で確認できなかったため削除しました。標高を「800〜1,300m(平均約950m)」、ファゼンダ・サンタ・マリアを「1,340m」、ファゼンダ・ウンを「1,100〜1,300m」と記載していましたが、いずれも裏付ける公的資料は確認できず、サンタ・マリアの1,340mは記事内の範囲とも矛盾していました。一次資料で確認できなかったため削除しました(産地情報の標高欄は数値を記載していません)。あわせて、この標高を前提にしたサンタ・マリアの「標高の高さを活かした緻密なチェリーで知られる」も削除しました。「19世紀半ば、イタリアやシリア・レバノンからの移民が入植したことをきっかけにコーヒー栽培が定着し」と記載していましたが、IBGEとサンパウロ移民博物館の資料で確認できたのは、ブラジルへのイタリア移民の大きな流入が1870〜1920年、レバノン移民の増加が1880年代以降であることで、スル・ジ・ミナスへの入植やコーヒー栽培との関係は一次資料で確認できなかったため削除しました。コオシュペ(Cooxupé)について「組合員2万2,000名超」「370以上の市町村」「年間400万袋超を輸出」と記載していましたが、同組合の公式紹介では組合員2万1,000名超・360以上の市町村から集荷で、400万袋超は2016年の輸出実績として確認できるものでした。これらの数字に改め、輸出量は2016年の実績と明記しました。「世界最大級」「2025年時点で小規模・零細生産者が97.6%」は一次資料で確認できなかったため削除しました。ファゼンダ・ウンについて「2009年に設立」「SCA83点前後を記録」「創業家からは2023年にブラジル人初のワールド・バリスタ・チャンピオンを輩出」と記載していましたが、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)2023年の公式順位表で確認できたのは優勝者がボラム・ウム(Boram Um、所属 Um Coffee Co)であることまでで、農園との関係、設立年、83点、「ブラジル人初」は一次資料で確認できなかったため削除しました。追加の照合で、ファゼンダ・サンタ・マリアについて「400ヘクタール規模のスペシャルティ農園。SCAカッピングスコア84〜87点台のロットを安定的に生産する」と記載していましたが、農園側の家族による輸出会社TJ Coffee Importsの紹介で確認できたのは、イリシネアの400ヘクタールの農園、標高1,340m、SCA 84点以上という紹介値でした。出所を明記してこの範囲に改め、上記で削除した1,340mも同社の紹介値として紹介欄に記載しました(産地情報の標高欄は引き続き数値を記載していません)。「84〜87点台で安定的に生産」は一次資料で確認できなかったため削除しました。ファゼンダ・ウンについて「放棄されていた農地を再生する形で設立されたスペシャルティ専業農園」と記載していましたが、Um Coffee Co.の公式沿革で確認できたのは、2002年に南ミナスの農園を取得したことを同社の起点としていることでした。出所を明記してこの内容に改め、放棄地の再生と「スペシャルティ専業」は一次資料で確認できなかったため削除しました。追加の照合で、ブラジル セラード・ミネイロへのリンクに「ブラジル初のDO認証産地」と添えていましたが、ブラジル産業財産庁(INPI)の記録で確認できたのは2013年に原産地呼称(DO)として登録されたことで、「ブラジル初」は一次資料で確認できなかったため「原産地呼称〈DO〉の産地」に改めました。追加の照合で、ブラジル アルタ・モジアナへのリンクに「パルプドナチュラル発祥の地」と添えていましたが、アルタ・モジアナを起源とする一次資料は確認できなかったため、この添え書きを削除しました。
訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。
訂正(2026-10-15): 本文と精製方法の欄で、「収穫期にあたる乾季(5〜9月)はほとんど降雨がありません」「収穫は6〜8月に集中」「乾燥期間は概ね3〜4週間」「この乾いた冬がナチュラル精製に適した環境をつくります」「果肉と種子が触れ合ったまま糖分をゆっくり凝縮」「果肉に含まれる糖分が種子へゆっくり移行し、フルボディと果実香、キャラメルの甘みを備えたカップに仕上がります」と記載していましたが、気候の月・乾燥日数と、ナチュラル精製が風味を生むという因果は一次資料で確認できなかったため外しました(ブラジルの国別ページとセラード・ミネイロの記事の訂正〈2026-10-14〉と同じ扱いです)。あわせて、副題「小農家の集積地が生むフルボディの甘み」、説明文の「ナチュラル精製で仕上げ、フルボディと果実香に柑橘系の爽やかさを重ねる一杯に仕立てる」、見出し「小農家の集積が生むナチュラル精製の厚み」も、同じ因果の断定のため改めました。抽出の目安の「ナチュラルの甘みを引き出しつつ」「ナチュラル精製の凝縮した甘みを活かすため」「ナチュラルの過剰発酵ノートを抑えつつ」も、精製と風味の因果を前提にしていたため改めました。
参考文献・情報ソース
- Coffee Geography — Minas Gerais Brazil Coffee
- Orange Brown Imports — Coffee Producing Region Highlight: Sul de Minas
- Cooxupé — Who We Are (Export)
- Consórcio Pesquisa Café — Obatã Vermelho IAC 1669-20
- EthicHub Green Coffee — Fazenda Um, Minas Gerais Mundo Novo Natural
- Atlantica Coffee — Cafés do Brasil: Sul de Minas Coffee
- Perfect Daily Grind — A Concise Guide to Brazil's Major Coffee-Producing Regions
- CONAB — Relatório Café Minas Gerais (Sureg-MG, 2024年3月)
- IBGE — 地域区分資料(メソ地域 Sul/Sudoeste de Minas)
- IBGE Brasil 500 Anos — Italianos
- Museu da Imigração — Libaneses: mais de 140 anos no Brasil
- Cooxupé — Quem Somos
- Cooxupé Exportação — Quem Somos
- World Barista Championship — 2023 WBC Rankings (Combined)
- TJ Coffee Imports(ファゼンダ・サンタ・マリアの紹介)
- Um Coffee Co. — Quem Somos(公式沿革)
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