インド クールグ

ロブスタ7割超、香辛料と共栽培するインド最大のコーヒー産地

カルナータカ州クールグ(コダグ)県はインド最大のコーヒー産地で栽培面積の7割超をロブスタが占める GI認証「クールグ・アラビカ」のS.795種はカルダモンや胡椒との混作でチョコレートと蜂蜜のような甘みを持つ一杯


この記事の要点

  • 産地はインド南部カルナータカ州クールグ(コダグ)県、西ガーツ山脈南部の丘陵地帯
  • 県内の栽培面積は106,921ha(カルナータカ州全体の44%)、生産量はインド全体の35%を占める
  • 栽培面積の7割超がロブスタ種、GI認証「クールグ・アラビカ」の対象はS.795など伝統アラビカ品種
  • カルダモン・胡椒・オレンジと混作するアグロフォレストリーで、樹冠の陰で育てる栽培システム
  • 世界最大級の統合コーヒー企業だったタタコーヒーの発祥地の一つ、2024年からTata Consumer Products傘下で経営継続

産地情報

産地インド・カルナータカ州クールグ(コダグ)県、西ガーツ山脈南部の丘陵地帯
品種S.795・クーベリー(Cauvery)・ケント種などアラビカ伝統品種、ロブスタはS.274・CxRが中心
標高アラビカ 1,006〜1,494m(3,300〜4,900ft)/ロブスタ 488〜1,006m(1,600〜3,300ft)
味わいアラビカはまろやかな酸味とチョコレート・蜂蜜・木の実系の甘み、ロブスタはしっかりしたボディとスパイス感

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:S.795(Kent×S.288の交配、1940年代リリース)ほかクーベリー・ケント種、GI認証「クールグ・アラビカ」

クールグのアラビカはS.795・クーベリー(Sln.12)・ケントなどの伝統品種が中心で、2019年にインド政府からGI(地理的表示)認証「クールグ・アラビカ」を取得している 一方、県全体の栽培面積では耐病性が高く収量の多いロブスタ種(S.274・CxRなど)が7割超を占め、コーヒーはカルダモン・胡椒・オレンジなどと混作するアグロフォレストリーで栽培される

  • S.795Kent種とS.288種の交配で1940年代にリリースされた高品質アラビカで、バランスの取れた香気特性を持つ
  • クーベリー(Sln.12)ブルボン系Caturraとハイブリド・ド・ティモールの交配由来で1985年にポルトガルの研究機関から導入されたCatimor系統
  • 3タルク(郡)のうちマディケリ・ビラジペット&ポンナンペットはロブスタが優勢、ソムワルペット&クシャルナガルのみアラビカが優勢という地域差がある

インド クールグとは

クールグ(Coorg)、カンナダ語での正式名称コダグ(Kodagu)県は、インド南部カルナータカ州の西ガーツ山脈南部に位置する丘陵地帯です。県内のコーヒー栽培面積は106,921haで、カルナータカ州全体の44%を占め、年間生産量は110,730トン(州全体の50%、インド全体の35%)にのぼります(Kodagu District, Government of Karnataka)。

県内は3つのタルク(郡)に分かれ、栽培品種の構成に地域差があります。マディケリ郡はロブスタ22,956haに対しアラビカ1,250ha、ビラジペット&ポンナンペット郡はロブスタ50,055haに対しアラビカ1,740haと、この2郡はロブスタが圧倒的に優勢です。唯一ソムワルペット&クシャルナガル郡だけがアラビカ24,050haに対しロブスタ6,870haとアラビカ優勢になっています(同上)。県全体を合計すると栽培面積の7割超をロブスタが占める計算です。標高はアラビカが1,006〜1,494m(3,300〜4,900ft)、より低地・温暖な地域で育つロブスタが488〜1,006m(1,600〜3,300ft)とすみ分けられています。

2019年、インド政府知的財産局(DPIIT)は「クールグ・アラビカ・コーヒー」を含む5品種にGI(地理的表示)タグを付与しました。GI認証は生産量シェアではなく品質・希少性・地域固有性を評価する制度で、対象となるアラビカはS.795・クーベリー・ケントなどの伝統品種です。コーヒーはカルダモン・胡椒・オレンジといった作物と一緒に樹冠の下で栽培するアグロフォレストリー方式が伝統で、県の景観そのものを形づくっています。

産業構造としては大規模プランテーションと小規模農家が併存します。タタコーヒーは1922年の起源を持ち、かつては世界最大級の統合コーヒー生産会社としてクールグ・チクマガルル・ハッサンの3県で19農園を運営していました。2024年1月、タタコーヒーはタタ・コンシューマー・プロダクツ傘下のTCPL Beverages & Foodsへ統合され、独立した上場企業としては消滅しましたが、プランテーション事業自体は同グループ内で継続しています(Wikipedia「Tata Coffee」)。一方で県内の多くは小規模農家が担っており、協同組合を通じた集荷・加工が生産を支えています。


代表的な農園・協同組合

代表的な農園

  • タタコーヒー(現TCPL Beverages & Foods)Tata Coffee (now TCPL Beverages & Foods, Tata Consumer Products)
    📍 クールグ・チクマガルル・ハッサンの3県、南インド全域⛰️ 900〜1,300m前後(自社プランテーション群)

    起源は1922年 かつて世界最大級の統合コーヒー生産会社として19農園を運営し、2024年にタタ・コンシューマー・プロダクツ傘下のTCPL Beverages & Foodsへ統合 自社プランテーションでコーヒーと胡椒を混作する(Wikipedia「Tata Coffee」)

  • クールグ・コーヒー生産者協同組合Kodagu Coffee Growers' Co-operative Society
    📍 クールグ(コダグ)県内、小規模農家が加盟する地域協同組合⛰️ 106,921ha(県全体の栽培面積)

    県内に多数存在する小規模農家の集荷・精製・共同出荷を担う協同組合の一つ 小さな区画で栽培されたコーヒーを取りまとめ、加工・販売までを支援する

  • クリスタルバレー農園Crystal Valley Estate
    📍 クールグ県チェッタリ村⛰️ 未公開(ビリギリ山系側の高地)

    マンダッパ家が3世代にわたり営む家族経営農園 スペシャルティ向けマイクロロットとしてアラビカを栽培・収穫する小規模生産者の代表例(Five Farms産地情報)


精製方法

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫
2
果肉除去
3
水洗い・発酵
4
乾燥
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴

クールグの輸出向けコーヒーはウォッシュドが基本形。 特選(スペシャルティ)向けカタログでもウォッシュドが最も多い精製方法として記録される一方、近年はカーボニックマセレーションやハニープロセスを試すマイクロロットも同数程度登場しており、伝統的なウォッシュド中心の産地でも精製方法の多様化が進んでいる(Indian Coffee Beans産地ガイド)。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いインド クールグインド チクマガルルインド モンスーンマラバールベトナム ロブスタブラジル サントスNo.2インドネシア マンデリンG1

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃
  • 挽き目:中挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ
  • 豆の量:13g / 200ml(まろやかな酸味とチョコレート系の甘みをバランスよく引き出す中煎り標準量)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)。中煎りはやや低めの温度で甘みとボディを保つ
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

よくある質問

クールグ(Coorg)とコダグ(Kodagu)は同じ産地ですか?
はい、同じ地域を指します 「コダグ」がカンナダ語の正式な県名で、「クールグ」は英語圏で定着した呼び方です 本記事では両方の表記を併記しています
クールグはロブスタが多いのに、なぜアラビカがGI認証されているのですか?
生産量・栽培面積では確かにロブスタが優勢ですが、GI(地理的表示)認証の「クールグ・アラビカ」は品質・希少性・地域固有性を評価する制度で、生産量シェアとは別の基準です 2019年にインド政府知的財産局からGIタグを取得しました
クールグ産の豆はどこで手に入りますか?
大手コーヒー企業のブレンド原料としてロブスタが多く使われる一方、アラビカのマイクロロットはスペシャルティ系の通販・自家焙煎店で「クールグ」「コダグ」名で流通しています

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