ザンビア ノーザン州

ムチンガ山脈の台地が育む——SL28とカティモールが交差する、チョコ&シトラスのクリーンカップ

ザンビア輸出量の97%を担うノーザン州・カサマ〜ムバラの標高1,300〜1,600mで栽培されるアラビカ。SL28とCatimor 129が主体で、ウォッシュド精製が生み出すレモン・ダークチョコ・スパイスのバランスが特徴的なクリーンカップです


産地情報

産地ザンビア ノーザン州(カサマ・ノコンデ・イソカ・ムバラ各地区)
品種SL28・Catimor 129(カティモール)
標高1,300〜1,600m(ムバラ地区は最大1,600m)
味わいレモン・ダークチョコレート・スパイス・ヘーゼルナッツ・マイルドな甘さ

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:SL28 / Catimor 129

ザンビアのコーヒー栽培は1950年代の宣教師による試験植えを起源とし、1970年代の世界銀行支援プロジェクトを経て商業規模に拡大した。1985年にICO(国際コーヒー機関)が年間350MTの輸出枠を割り当てたことで輸出産業として確立。現在も全てアラビカ(Coffea arabica)のみを栽培している(Perfect Daily Grind / Omwani Coffee)

  • SL28ケニアのスコットランド・ラボラトリーズが1931年頃に選抜した品種で、乾季耐性と明るいシトラス酸味・フルーツ感で知られる。ザンビアへはケニア育種系統が伝播し、ノーザン州高地の標高・雨季・土壌と相性が良く、カテシ農園など主要エステートの主力品種となっている(Square One Coffee産地記述)
  • Catimor 129(カティモール129)はコロンビアのCaturra×ティモール・ハイブリッド1343の交配体で、葉さび病(CLR)・コーヒーベリー病(CBD)に高い耐性を持つ。生育が旺盛で収量も多く、ザンビアの小農家が病害リスクを抑えながら安定生産するうえで重要な役割を担っている(Omwani Coffee / Perfect Daily Grind)

ザンビア ノーザン州とは

ザンビア共和国は中部アフリカの内陸国で、国土のほぼ全域が標高1,000m以上の高原台地に広がります。コーヒー栽培に最適な高標高の環境は国土そのものが持ち合わせており、なかでもノーザン州ムチンガ山脈一帯がアラビカ栽培の中心地です。

コーヒーが持ち込まれたのは1950年代。カトリック・プロテスタント各宣教師団がカサマ周辺でアラビカの試験栽培を始めたのが端緒です。その後、1970年代に世界銀行の融資支援を受けた大規模農園開発が進み、ノーザン州に複数の商業エステートが整備されました。1985年にICO(国際コーヒー機関)が年間350MTの輸出枠を承認し、ここからザンビアは国際コーヒー市場に本格参入しました(Omwani Coffee)。

生産量は2004/05年度に6,654MTという歴史的ピークを迎えましたが、以降は気象変動・資金不足・農園管理の課題から急減し、2015年には約180MTまで落ち込みました。近年は外国投資を呼び込んだ農園改修と技術支援が実を結び、2019年頃に約2,000MTまで回復しています(Perfect Daily Grind / Omwani Coffee)。

カップキャラクターの核は、ウォッシュド精製が生み出すクリーンで透明感の高い酸味と甘さ。SL28由来のシトラス・レモンノート、Catimor 129が担うボディとナッツ・チョコレートのまろやかさが混ざり合い、「フルーツと甘いダークチョコが共存するバランスの良い1杯」と評されます(Burman Coffee / Fathom Coffee産地記述)。国際的なスペシャルティバイヤーからは「東アフリカの中で見落とされがちな宝石」として注目度が高まりつつある産地です。


代表的な農園・生産組織

代表的な農園

  • カテシ農園(Northern Coffee Corporation傘下)Kateshi Estate — Northern Coffee Corporation Ltd.
    🏆 Rainforest Alliance・UTZ認証取得
    📍 ノーザン州カサマ地区(ノコンデ方面)⛰️ 1,330〜1,364m

    1972年カテシ村近郊に設立されたノーザン州最大のコーヒーエステート。Northern Coffee Corporation Limited(NCC)が運営し、同社はザンビア輸出量の約97%を担う。2012年にOlam Internationalが約615万USDで買収し、設備近代化と品質管理を強化。Rainforest Alliance・UTZ両認証を取得しており、ウォッシュド・ナチュラル・アナエロビックの複数プロセスを展開する(Olam Group公式発表 / Burman Coffee)

  • ンゴリ農園Ngoli Estate
    📍 ノーザン州ムバラ地区周辺⛰️ 約1,550〜1,600m

    ムバラ地区に位置し、ノーザン州の中でも標高が高い部類に入る。ウォッシュドのAAグレードを主力とし、クリーンで細かい酸味が特徴的なロットとして米国スペシャルティ市場に輸出されている(Burman Coffee — Zambia Ngoli Estate Washed AAA)

  • マフィンガ・ヒルズ 小農家グループMafinga Hills Smallholder Group
    📍 ノーザン州マフィンガ丘陵(ザンビア最高峰地帯)⛰️ 1,500〜2,300m(マフィンガ丘陵最高地点付近)

    ザンビア最高峰のマフィンガ丘陵(最高点2,300m)周辺の小農家が栽培するロット。Rainforest Alliance認証を取得しており、オーストラリアのスペシャルティ市場向けに「レインフォレスト・コーヒー」としてブランド化されている(Green Bean Roasters Melbourne)


精製方法

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫
2
果肉除去
3
水洗い・発酵
4
乾燥
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴

ウォッシュドが主流。 収穫したチェリーをパルパーで果肉除去し、12〜36時間の水発酵でムシラージを分解する。その後レイズドベッドで天日乾燥する。カテシ農園ではナチュラルおよびアナエロビックナチュラルも生産されており、後者は赤果実・シトラス・チョコレート・スパイスが重なる複雑なカップとなる(Burman Coffee産地記述)。ハーベストは5〜8月に行われ、輸出シッピングは9〜翌4月が標準期間。スペシャルティロットのグリーン出荷は6〜8月に集中する(Omwani Coffee)。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いザンビア ノーザン州エチオピア イルガチェフェインドネシア マンデリンG1ベトナム ロブスタタンザニア キリマンジャロブラジル サントスNo.2

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃
  • 挽き目:中挽き〜中細挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ・フレンチプレス
  • 豆の量:12g / 200ml(中煎りでチョコとシトラスのバランスを引き出すなら92℃前後が最適)

基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)。中煎りのザンビアはやや低温寄り(88〜92℃)でシトラス酸を活かしつつボディを出しやすい
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

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