
コンゴ民主共和国 イトゥリ
内戦後の和解事業から育った、グレープフルーツ薫るブルボン
コンゴ民主共和国北東部イトゥリ州は1936年のベルギー植民地期に導入されたブルボン系統を残す産地 2003年の紛争終結後、UNDPが元戦闘員の社会復帰事業としてコーヒー栽培を導入し、協同組合主導でマイクロウォッシングステーション網が広がる復興途上の希少ロット
産地情報
| 産地 | コンゴ民主共和国・イトゥリ州(ジュゴ準県/マハギ準県) |
|---|---|
| 品種 | ブルボン主体(ブルーマウンテン=ティピカ系統も併植) |
| 標高 | 1,600〜1,900m |
| 味わい | グレープフルーツ・プルーン・カシス、サトウキビを思わせる甘みとバランスの取れた酸 |
品種情報
品種:ブルボン/ブルーマウンテン(ティピカ系統)
ウガンダ国境に近いルウェンゾリ山地北端、標高1,600〜1,900mの粘土質砂質土壌に広がる5,200km²超の山岳地帯で栽培。1936年のベルギー植民地期に持ち込まれたブルボン系統が中核を占め、隔絶された地形ゆえに大規模な品種転換を免れてきた
- 標高1,600〜1,900mの山岳地帯・粘土質砂質土壌で栽培
- 1936年のベルギー植民地期にブルボン系統が導入
- 2003年のイトゥリ紛争終結後、UNDPが元戦闘員の社会復帰事業としてコーヒー栽培を導入
- マハギ準県のKawa Maber、ジュゴ準県のBblo Kawaなど協同組合が品質向上を主導
コンゴ民主共和国 イトゥリとは
イトゥリ州はコンゴ民主共和国北東部、ウガンダと国境を接するルウェンゾリ山地北端に位置します。標高1,600〜1,900mの粘土質砂質土壌に広がる山岳地帯は5,200km²を超え、コーヒー栽培に適した気候と地形を備えています(出典:Perfect Daily Grind)。
コーヒーが持ち込まれたのは1936年、ベルギー植民地統治下でのことでした。しかしこの地域は1999年から2003年にかけてイトゥリ紛争(ヘマ人とレンドゥ人の民族対立を背景とする武力衝突、第二次コンゴ戦争の一部)で深刻な被害を受けます。紛争終結後の2005年、UNDP(国連開発計画)は元戦闘員とその家族の社会復帰を目的に、コーヒー栽培を軸とした経済再建プログラムを開始しました。
このプログラムから生まれた協同組合の一つが、マハギ準県のKawa Maber(「優れたコーヒー」の意)です。設立後まもない2014年に17.1トン、2015年には33.42トンをアメリカへ輸出し、イトゥリ産スペシャルティの先駆けとなりました。一方、ジュゴ準県のBblo Kawaは組合員1,521名・世帯換算で7,655名を支える若い組合で、Rikolto(オランダ発の農業開発NGO)の支援を受けてウォッシングステーションの増設と輸出品質の到達を目指す発展途上の段階にあります。
カップの個性はグレープフルーツ・プルーン・カシスのフルーツ感と、サトウキビを思わせる甘み。酸味とボディのバランスが取れた、香り高い一杯に仕上がります(出典:Perfect Daily Grind)。
同じDRC東部でも、キブ湖周辺の産地とは異なる個性を持ちます。ライム・イチジク・ダークチョコの層を持つ姉妹記事コンゴ民主共和国 キブと飲み比べると、同一国内でもテロワールの幅の広さがよく分かります。
🌍 流通の難しさ:DRC国内には流通を保護する規制が十分に整っておらず、正規の国内市場よりウガンダ国境を越える方が輸出しやすいという構造的な課題があります(出典:Perfect Daily Grind)。Bblo Kawaのように輸出品質にまだ届いていない組合の収穫は、現状国内市場向けか越境流通が中心です。
代表的な農協・協同組合
代表的な農園
- Kawa Maber 協同組合Kawa Maber Cooperative
「優れたコーヒー」を意味する組合名。2005年のUNDP社会復帰プログラムを機に設立され、2014年に17.1トン、2015年に33.42トンをアメリカへ輸出しイトゥリ産スペシャルティの先駆けとなった
- Bblo Kawa 協同組合Bblo Kawa Cooperative
組合員1,521名・世帯換算7,655名を支える新興組合。Rikoltoの支援でウォッシングステーション増設中だが、現状は輸出品質にまだ届かず国内市場・ウガンダへの越境流通が中心
- マイクロウォッシングステーション網Community Micro Washing Stations (Rikolto Programme, 2017-2022)
組合員1人あたり50米ドルの資材拠出で建設され、DRC東部全体で123カ所が稼働。1カ所を約100軒の農家が共同利用し、精製・品質管理を担う要員5名を雇用
精製方法
ウォッシュドが中心。 マイクロウォッシングステーション網で収穫したチェリーを共同処理し、品質のばらつきを抑える仕組みが整えられている。
精製方法
ウォッシュド
Washed / Wet Process
豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴
フレーバーチャート
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
シナモン ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:90〜93℃
- 挽き目:中細挽き
- 抽出方法:ペーパードリップ
- 豆の量:12g / 200ml(グレープフルーツ・プルーンの明るい酸を引き出す標準的な濃度)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
参考文献・情報ソース
- Perfect Daily Grind — Exploring the Democratic Republic of Congo as a Coffee Origin(イトゥリ標高・品種・フレーバー)
- Coffee Circle — Increasing Coffee Quality for 1,521 Farmers in D.R. Congo(Bblo Kawa協同組合)
- Rikolto Eastern Africa — The Revival of Arabica Coffee in Eastern DRC(マイクロウォッシングステーション網・123カ所)
- Rikolto — Speciality Coffee from Kivu and Ituri, DRC
- Coffeeness — Congolese Coffee: A Real Success Story(品種・地域別プロファイル)
- Omwani — Democratic Republic of the Congo (DRC) Coffee Production & Sourcing Guide
- Wikipedia — Coffee production in Democratic Republic of the Congo
- World Brewers Cup — 手動ドリップ世界選手権 公式ルール(参考レシピ基準)
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