レユニオン ブルボン・ポワントゥ

ブルボン品種発祥の島が守る世界最高峰の低カフェインアラビカ

レユニオン島(旧ブルボン島)は世界中に広まったブルボン品種の原産地。18世紀にイエメンから移植されたアラビカが島の孤立した環境で自然変異し誕生したブルボン・ポワントゥは、カフェイン含有量が通常アラビカの約半分以下。ライチ・赤い果実・オーキッドの透明な酸が世界屈指の希少グランクリュとして高く評価されています


産地情報

産地 レユニオン島(フランス海外県)・オー・ド・ラ・レユニオン地区(サン=ポール、トロワ・バッサン、ル・タンポン、プレーヌ・デ・カフル)
品種 アラビカ・ブルボン・ポワントゥ(Coffea arabica var. laurina)
標高 約800〜1,200m
味わい ライチ・赤い果実・オーキッド・グレープフルーツ・ヘーゼルナッツ・極めて低い苦味

品種情報

アラビカ種 Coffea arabica 最高品質

品種:ブルボン・ポワントゥ(Bourbon Pointu / Laurina)

18世紀にイエメンから移植されたアラビカ苗木が、孤立した島の環境でほぼ単一クローンとして増殖し続けた結果、1771年頃に発見された自然突然変異体。学名 Coffea arabica var. laurina。フランス語で「尖った」を意味する「ポワントゥ(pointu)」が示す通り、通常のアラビカより細長く先端が尖った特徴的な豆形状を持つ。カフェイン含有量は0.4〜0.75%と通常のアラビカ(1.2〜1.6%)の約半分以下で、刺激が少なく繊細なカップに仕上がる。2005年以降の復活プロジェクトにより現在はグランクリュ(Grand Cru)格付け制度のもとで品質管理が徹底されている

  • 自然低カフェイン突然変異体(カフェイン0.4〜0.75% — 通常アラビカの1/2〜1/3)
  • 先端が尖った細長い豆形状が名前の由来(pointu = フランス語で「尖った」)
  • 1942年に栽培が事実上終了、1999年に日本チームの支援で復活
  • グランクリュ最高品質区画からの生産量は年間わずか約830kgに限定

ブルボン品種の故郷

レユニオンはインド洋南西部、マダガスカルの東約700kmに位置するフランスの海外県(DOM)だ。面積は2,512km²と小さいながら、島の中央にそびえるピトン・デ・ネージュ(標高3,071m)をはじめとする火山地形が複雑な地勢を生み出し、標高800〜1,200mの高地では典型的なコーヒー生育条件が整う。

この島がコーヒー界でもつ最大の意義は、ブルボン(Bourbon)品種の原産地であることだ。現在エルサルバドル、コスタリカ、ルワンダ、ケニア、タンザニアなど世界各地で栽培されるブルボン品種はすべて、旧称「ブルボン島(Île Bourbon)」——すなわちレユニオンから世界へと広まった。この命名は、島が1848年の第二共和政まで持っていたフランス王家ブルボン朝にちなむ旧名に由来する。

コーヒーがこの島に持ち込まれたのは1708年。フランス東インド会社がイエメンから60本の苗木を導入したが最初の試みは失敗。1711年に同社の書記官アルダンクール氏(d'Hardancourt)が改めてイエメン産苗木の移植に成功し、以後18世紀を通じてプランテーションが拡大した。孤立した島環境で単一クローンとして増殖を続けるなかで劣性遺伝形質が発現し、1771年頃に ブルボン・ポワントゥ(Bourbon Pointu) という独特の変異体が確認されたと記録されている。

19世紀末に砂糖産業が台頭するとコーヒー栽培は衰退し、1942年にはブルボン・ポワントゥの栽培が事実上終了した。復活の契機となったのは1999年——日本の上島珈琲(UCCグループ)研究部門の川島良彰氏がレユニオン当局と協力してプロジェクトを立ち上げ、2005年に初の商業収穫が実現。2008年には 「コオペラティブ・ド・カフェ・ブルボン・ポワントゥ・ド・ラ・レユニオン(Coopérative de Café Bourbon Pointu de La Réunion)」 が発足し、グランクリュ格付け制度のもとで品質管理が本格化した。


代表的な産地・生産地域

代表的な農園

  • ブルボン・ポワントゥ協同組合(Coopérative de Café Bourbon Pointu) Coopérative de Café Bourbon Pointu de La Réunion
    🏆 Grand Cru de La Réunion認定
    📍 レユニオン島・高地産地全域(サン=ポール/トロワ・バッサン/ル・タンポン/プレーヌ・デ・カフル) ⛰️ 800〜1,200m

    2008年設立。川島良彰(上島珈琲研究部門)の指導のもと複数の生産者が参加。グランクリュ格付けを取得した最高品質区画の豆は年間約830kgのみ生産・リリースされ、国内外で最高クラスの評価を受ける。品種の純粋性維持と有機農法への移行を推進している

  • ラ・フェルム・スリティ(ドメーヌ・デ・カフェイエ) La Ferme Sliti / Domaine des Caféiers
    📍 レユニオン島・オー地区 ⛰️ 約900〜1,100m

    フランス国内唯一の認定有機(bio)コーヒー農園として知られる小規模生産者。ブルボン・ポワントゥを有機栽培し、手摘み収穫・ウォッシュド精製で丁寧に仕上げる。少量生産のためほぼ島内消費にとどまるが、品質評価は高い

  • バリスタ・ド・ブルボン/カフェ・ルロワ Barista de Bourbon / Café Leroy
    📍 レユニオン島 ⛰️ 700〜1,000m

    島内の伝統的焙煎・販売業者として長年の歴史を持つ。ブルボン・ポワントゥのほかにも通常アラビカを扱い、地元消費者向けのメランジュ(ブレンド)も展開。島のコーヒー文化の継承と普及に貢献している


精製方法

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫
2
果肉除去
3
水洗い・発酵
4
乾燥
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴

ブルボン・ポワントゥの繊細なフローラル・フルーツ特性を最大限に引き出すため、現代のレユニオンのコーヒー生産ではほぼ全量がウォッシュド(水洗式)精製で仕上げられる。収穫後すみやかに果肉を除去し、発酵槽で粘液質(ミューシレージ)を分解・洗い流すことで、品種由来の透明感ある酸味と繊細なアロマを妨げる過熟フルーツ香を排除する。標高800〜1,200mの高地での緩やかな成熟と丁寧な手摘み収穫が前提にあり、精製の各工程でも品質の均一性が厳格に管理される。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味 苦味 甘み コク 香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎 深煎り

シナモン ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味 酸味 コク 軽い レユニオン ブルボン・ポワントゥ エチオピア イルガチェフェ ケニア AA コロンビア ウイラ ブラジル サントスNo.2 インドネシア マンデリンG1

奇跡の復活:川島良彰とブルボン・ポワントゥ

1942年にレユニオンでブルボン・ポワントゥの栽培が途絶えてから57年後の1999年。上島珈琲グループ(現UCCホールディングス)の研究部門で働いていた川島良彰氏は、文献調査でこの幻の品種の存在を知り、現地に飛んだ。彼が見つけたのは、島の山間部にかろうじて残っていた古い野生株だった。

川島氏はレユニオン島当局と農家を説得し、苗木の増殖と農園整備を開始。試行錯誤を経て2005年に初の商業規模での収穫が実現し、そのサンプルが日本の専門家に届いた。「ライチのような甘い香り、透明感のある酸、そして驚くほどの軽やかさ——他のどのコーヒーとも異なる」という評価が業界に広まり、復活プロジェクトへの関心が一気に高まった。

現在のグランクリュ制度では、最高品質区画から収穫された豆のみが審査を経て「Grand Cru de La Réunion」の称号を与えられる。年間約830kgという極めて限られた生産量と、日本を含む海外からの高い需要が重なり、ブルボン・ポワントゥのグランクリュは世界で最も高価なコーヒーの一つとして流通している。


淹れ方のポイント

  • お湯の温度:85〜89℃(低温でフローラルの繊細さを保つ)
  • 挽き目:中細挽き〜細挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ(透明感ある酸と香りを最大化)またはサイフォン(繊細なアロマを立たせる)
  • 豆の量:12〜13g / 200ml(淡いながら複雑な香りが広がる設定。多くすると苦味のなさが顕著になり過ぎる場合がある)

基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃。ブルボン・ポワントゥは極めて繊細なフローラル成分を持ちハイライトには低温推奨。Sea Island Coffeeら専門ロースターが85〜90℃を推奨
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

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