
ボリビア サンタクルス
野生種が導いた新興産地の目覚め
ボリビアコーヒーの95%を担うユンガスの陰で、サンタクルス県サマイパタが新興産地として台頭。標高1,280〜1,390mの山林で発見された野生種ラグニジェロや、低地ブエナビスタの有機小規模農家が、ナチュラル・ハニー精製で個性的な甘みを引き出しています
産地情報
| 産地 | ボリビア・サンタクルス県(サマイパタ/ブエナビスタ/ヤパカニ、アンボロ国立公園周辺の新興産地) |
|---|---|
| 品種 | カトゥーラ/CatxCatuai/トゥピ/ラグニジェロ(野生ティピカ・クリオージョ) |
| 標高 | 約450〜1,390m(低地ブエナビスタ〜高地サマイパタ) |
| 味わい | ベリー・トロピカルフルーツ・ワインのような発酵感、蜂蜜のような甘み |
品種情報
品種:カトゥーラ(Caturra)/ラグニジェロ(Lagunillero)
サンタクルス県で近年広がっているのはカトゥーラ・CatxCatuai・トゥピといった、さび病に強いブラジル由来の新系統。旧来のムンドノーボなどは単収の低さから多くの畑で切り替えが進んだ。中でも異色なのが「ラグニジェロ」。サマイパタの農園カフェ・パカイが2014年、自社農地の渓谷で栽培せずとも自生しているコーヒーの木を発見し命名したもので、ティピカ・クリオージョの自然変異とされる野生種。同農園の敷地でしか確認されていない固有の系統として扱われている
- 2014年にサマイパタの渓谷で発見された野生種ラグニジェロが自生
- 標高450〜1,390mで低地の有機栽培と高地のスペシャルティロットが併存
- カトゥーラ・CatxCatuai・トゥピなど耐さび病品種への転換が進行中
- ユンガス(カラナビ)に次ぐボリビア第2の新興産地として台頭
ボリビア・サンタクルスコーヒーとは
ボリビアのコーヒー生産は、ラパス県ユンガス地方(カラナビ郡)がおよそ**95%を占め、残る大半の生産余地は長らく手つかずのまま残されてきました。その空白を埋める形で台頭しているのが、アンデス山脈を挟んで反対側、アマゾン低地に近いサンタクルス県(Santa Cruz)**の産地です。アンボロ国立公園(Parque Amboró)を囲むヤパカニ・サンカルロス・ブエナビスタ・ポロンゴ・エルトルノ・サマイパタ・マイラナの7自治体には、Federación de Cafetalerosに加盟する3,400人超の生産者が広がっています。
サンタクルス県のコーヒーは標高帯によって性格が大きく分かれます。低地のブエナビスタ・ヤパカニ地区は標高約450mとボリビアの主要産地としては異例に低く、豆は小粒ながら香りが強いのが特徴。多くの農家が市場相場に頼らない直接取引を志向し、硫黄石灰合剤やボルドー液といった有機的な防除にこだわる。1980年代のさび病流行で低単収に苦しんだ旧来品種(カトゥーラ・ムンドノーボ)に代えてブラジル由来の耐さび病品種を導入した結果、単収は乾燥豆換算で1ヘクタールあたり10キンタルから45キンタルまで伸びた。
一方、高地のサマイパタは標高1,280〜1,390mの山岳林で、火山性土壌と通年の降雨に恵まれスペシャルティロットが育つ。2014年、この地に土地を持つカフェ・パカイが渓谷に自生する野生のコーヒーの木を発見。ティピカ・クリオージョの自然変異とみられるこの木を「ラグニジェロ」と名付け、2016年から商業栽培を開始した。専用の水洗設備を持たないためナチュラルとハニー精製に特化し、ポストプライム(完熟を過ぎた実)の収穫を活かしたエスプレッソ向けロットを主力とする。
サマイパタにはもう一つの顔もある。元銀行員からボリビアスペシャルティの先駆者に転身したペドロ・ロドリゲス氏の一家が営む**Agricafe(フィンカ・ロス・ロドリゲス)**は、カラナビに8農園・サマイパタに4農園の計12農園を保有し、ジャワ種・ゲイシャ種・SL系統・ブルボン種など新品種の導入でも知られる。小規模農家支援プログラム「Sol de la Mañana」も運営し、ユンガスとサンタクルスの両産地をまたいでボリビアコーヒー全体の底上げに関わっている。
ボリビア全体では、コーヒー産出国として世界38位、年間輸出量は近年約3万袋(60kg換算)規模にとどまる小さな生産国だが、収穫期は毎年6月から11月。ユンガス一極集中からの脱却を図るサンタクルスの動きは、この小さな生産国に新しい選択肢を加えつつある。
代表的な産地・生産者
代表的な農園
- カフェ・パカイ(Café Pacay)Café Pacay🏆 野生種ラグニジェロを発見・命名
2014年、自社農地の渓谷に自生する野生コーヒーを発見したことをきっかけに設立。ティピカ・クリオージョの自然変異とみられるこの野生種を「ラグニジェロ」と命名し2016年から商業栽培を開始。カトゥーラ・CatxCatuai・トゥピも栽培するが、専用の水洗設備を持たずナチュラルとハニー精製に特化。火山性土壌と豊富な湧き水を活かしたポストプライム収穫のエスプレッソ向けロットが主力
- Agricafe/フィンカ・ロス・ロドリゲスAgricafe / Fincas Los Rodríguez🏆 Sol de la Mañana プログラム主宰
元銀行員のペドロ・ロドリゲス氏が35年前にコーヒー生産へ転身し、ボリビアスペシャルティの先駆者となった一家経営農園。カラナビに8農園・サマイパタに4農園の計12農園を保有し、ジャワ種・ゲイシャ種・SL系統・ブルボン種など新品種の導入でも知られる。小規模農家支援プログラム「Sol de la Mañana」を運営し、ユンガスとサンタクルスの両産地をまたいで技術支援を行う
- サンタクルス県生産者連合(ブエナビスタ/ヤパカニ地区)Federación de Cafetaleros de Santa Cruz
アンボロ国立公園を囲む7自治体に3,400人超の生産者が加盟する連合組織。標高約450mという低地ならではの小粒で香り高い豆が特徴で、硫黄石灰合剤やボルドー液など有機的な防除に徹し市場相場に依存しない直接取引を志向。耐さび病品種への転換で単収は1ヘクタールあたり乾燥豆換算10キンタルから45キンタルまで向上した
精製方法
精製方法
ナチュラル
Natural / Dry Process
フルーティーで甘みが強い。ベリー系の発酵感とワインのような複雑さ
フレーバーチャート
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:88〜92℃
- 挽き目:中挽き
- 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(発酵感とベリーの甘みを引き立てる)
- 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → ベリーと蜂蜜の明るさが際立つ、14g → ワインのような発酵感とコクが厚みを増す)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
参考文献・情報ソース
- Wikipedia — Coffee production in Bolivia
- Perfect Daily Grind — Exploring the Bolivian coffee sector (2022)
- Publiagro — Santa Cruz sobresale en producción orgánica en su cuenca cafetalera (2023)
- Café Pacay — Our Farm(公式サイト、ラグニジェロ野生種の由来)
- Covoya Specialty Coffee — Bolivia Finca Los Rodriguez, Samaipata
- Cafe Imports — Bolivia Coffee Profile
- SCA Coffee Standards — Specialty Coffee Association
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