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ペルー クスコ(ラ・コンベンシオン)

農民運動から生まれた協同組合が守る、マチュピチュ山麓のオーガニック

ペルー南部クスコ県ラ・コンベンシオン郡、標高1,300〜2,200mのアンデス東斜面で栽培されるアラビカ。協同組合連合COCLAが約3,500家族を束ね、オーガニック・フェアトレード認証で欧米市場へ供給する。チョコレート・チェリー・柑橘が調和するフルボディ


産地情報

産地ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡(ビルカバンバ/オコバンバ/ワヨパタ/サンタアナ/エチャラテ)
品種ティピカ・カトゥーラ・ブルボン・カティモール
標高1,300〜2,200m
味わいチョコレート・チェリー・オレンジ・トースティなナッツの余韻当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:ティピカ(Typica)/カトゥーラ(Caturra)

ラ・コンベンシオン郡のコーヒーはティピカ・カトゥーラ・ブルボン・カティモールが中心で、いずれも19世紀後半以降にアンデス東斜面(セルバ・アルタ)へ持ち込まれた系統。ティピカはアラビカ種の代表的な品種系統(アラビカ種そのものの起源はエチオピア南西部、ティピカ系統はイエメンからインド、ジャワを経て広まった:World Coffee Research)で、カトゥーラはブルボンの自然突然変異で樹高が低く小規模畑での密植に向く。標高1,300〜2,200mの幅は、郡内のビルカバンバ・オコバンバ・ワヨパタ・サンタアナ・エチャラテという5地区にまたがる

  • ティピカ・カトゥーラが主力、カティモールも一定比率
  • 標高1,300〜2,200mのアンデス東斜面(ウルバンバ川流域)
  • ウォッシュドが主流
  • 協同組合中心の小規模農家生産でオーガニック・フェアトレード認証を取得

ペルー・クスコ(ラ・コンベンシオン)コーヒーとは

ペルー(Peru) は世界の生産量で上位10カ国前後に入る産地国で、栽培はアンデス東斜面の セルバ・アルタ(Selva Alta) に南北に連なる。北部カハマルカ、中部フニン(チャンチャマヨ)に続き、南部の クスコ県(Cusco) はマチュピチュ遺跡を擁する観光地としても知られるが、その山麓ではペルーを代表するコーヒー産地のひとつが広がっている。中心地は県北西部の ラ・コンベンシオン郡(La Convención)、郡都はウルバンバ川沿いの キジャバンバ(Quillabamba)。標高 1,300〜2,200m の谷筋にビルカバンバ・オコバンバ・ワヨパタ・サンタアナ・エチャラテの5地区が広がり、収穫期は4〜9月に及ぶ。

農民運動と農地改革が生んだ協同組合(1958〜1969年)

ラ・コンベンシオン郡は20世紀前半までハシエンダ(大農園)制のもとで小作農が土地を持たない状態が続いていたが、1958〜1963年に農民指導者ウーゴ・ブランコ・ガルドンの下で組合結成と土地占拠が広がった。1963年には軍事政権が農地改革の基本法(Ley de Bases)を定めてこの地域から改革が始まり、1964年5月には全国を対象とする農地改革法(法律第15037号)が公布された。さらに1969年にはフアン・ベラスコ・アルバラード政権が全国規模の農地改革を法制化してハシエンダを解体、土地は小規模農家の手に渡った。こうした背景のもと、コーヒー栽培農家の協同組合を束ねる COCLA(Central de Cooperativas Agrarias Cafetaleras、ラ・コンベンシオン農業コーヒー協同組合連合) が、農民運動のさなかの1967年に設立され(COCLA公式サイト)、点在する複数の一次協同組合をまとめる二段階組織として発展した。

協同組合モデルとオーガニック・フェアトレードへの転換

COCLAは公式サイトによれば、21の基礎協同組合と約3,500家族の小規模農家を束ねている。精製はウォッシュドが主流である(精製方式の構成比は一次資料で確認できていない)。土地改革で得た小区画を家族単位で耕作するという生産構造がそのままフェアトレード・オーガニック認証との親和性を生み、欧米スペシャルティ市場での評価につながっている。

ペルー全体の生産動向

USDA FAS(米国農務省)のCoffee Annual 2025(報告書番号PE2025-0018)は、ペルー全体の2025/26年度(4〜3月)の生産量を前年比8%増の約420万袋(60kg袋)と予測している。その後、USDA FAS の Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版)では、2025/26年度の推計が4,764千袋(約476万袋)、2026/27年度の予測が4,780千袋とされている。一方で2013年のサビ病(コーヒーさび病)の流行では全国の作付面積の約4割が影響を受け、2020年以降は標高1,500m以下でコーヒーノミキクイムシの被害も続くなど、構造的な課題も抱える。クスコの畑は多くが1,300m以上に位置し、低標高ほど深刻な虫害の影響を受けにくい点も強みのひとつになっている。


代表的な産地・生産者

代表的な農園

  • COCLA(協同組合連合)Central de Cooperativas Agrarias Cafetaleras
    🏆 オーガニック・フェアトレード認証
    📍 ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡(キジャバンバ本部)⛰️ 1,300〜2,200m

    1967年設立。公式サイトによれば21の基礎協同組合と約3,500家族の小規模農家を束ねる連合組織。オーガニック・フェアトレード認証を取得し、収益の一部で道路・教育・医療インフラへの投資を行う。ティピカ・カトゥーラ中心のウォッシュドを主力に欧米スペシャルティ市場へ輸出

  • ビルカバンバ/オコバンバ地区Vilcabamba / Ocobamba Districts
    📍 ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡(オコバンバは郡の東側)⛰️ 約1,500〜2,200m

    郡内でも標高が高めの地区で、ビルカバンバ山系の東斜面に畑が点在する

  • ワヨパタ/サンタアナ/エチャラテ地区Huayopata / Santa Ana / Echarate Districts
    📍 ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡(サンタアナは郡都キジャバンバ、ワヨパタは南部、エチャラテは北部)⛰️ 約1,300〜1,800m

    郡都キジャバンバのあるサンタアナ地区を中心に、南のワヨパタ、北のエチャラテへ広がる産地で、郡内では比較的標高が低い


精製方法

ウォッシュドが主流。 チェリーの果肉を除去して発酵槽で水洗発酵させたのち、天日棚やパティオで乾燥させる。ハニー・ナチュラルで仕上げたロットもある(精製方式の構成比と発酵時間は一次資料で確認できていない)。

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫→
2
果肉除去→
3
水洗い・発酵→
4
乾燥→
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いペルー クスコ(ラ・コンベンシオン)ペルー チャンチャマヨエチオピア イルガチェフェインドネシア マンデリンG1ベトナム ロブスタタンザニア キリマンジャロブラジル サントスNo.2

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃
  • 挽き目:中挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(チョコレートとチェリーの厚みを引き出す)
  • 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → オレンジの柑橘感が前面に、14g → チョコレートとナッツのボディが増す)

基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

ペルーの他産地では、中央高地フニン州のペルー チャンチャマヨも協同組合運動の先進地として知られる。同じ農地改革・協同組合という背景を持つ産地として、飲み比べてみるのもおもしろい。

訂正(2026-09-29): COCLAを「1969年農地改革を経て1967年設立」(説明文)、「1967年設立」(本文・生産者欄)と記載していましたが、年の前後が合わず、設立年を一次資料で確認できなかったため削除しました。ペルー全体の生産動向を「2025/26年が前年比15.6%増の約476.4万袋」「輸出量は前年の390.8万袋から16.5%増の約454.6万袋」「輸出先は米国32%、ドイツ16%、ベルギー11%」と記載していましたが、これらの値は一次資料で確認できず、同じ年度についてのUSDA FASの予測とも合わなかったため削除し、USDA FASの2025年報(PE2025-0018)で確認できた「2025/26年度の生産量は前年比8%増の約420万袋(60kg袋)の予測」に改めました。ティピカを「アラビカ最古の品種」と記載していましたが、World Coffee Researchの品種カタログでは、アラビカ種そのものの起源はエチオピア南西部、ティピカ系統はイエメンからインド、ジャワを経て広まったとされており、「最古」は一次資料で確認できなかったため、種の起源と系統の伝播を分けて書き直しました。上記で削除したCOCLAの設立年は、その後COCLAの公式サイトで1967年と確認できたため、1969年の全国農地改革より前の、農民運動のさなかの設立として記載し直しました。COCLAの栽培面積を「約2,972ヘクタール、そのすべてがオーガニック認証」と記載していましたが、同公式サイトで確認できたのは21の基礎協同組合・約3,500家族までで、面積と全域の有機認証は確認できなかったため削除しました。「1963年には軍事政権が農地改革法を施行」と記載していましたが、1963年の農地改革の基本法(Ley de Bases)と、1964年5月21日公布の農地改革法(法律第15037号)は別の法令のため(INEI、ペルー議会の法令原文)、書き分けました。郡都キジャバンバを「ウルバンバ川支流沿い」、ビルカバンバ/オコバンバを「郡北西部」、ワヨパタ/サンタアナ/エチャラテを「郡中心部〜南東部」と記載していましたが、ペルー国家水庁(ANA)の地図ではキジャバンバはウルバンバ川本流沿いで、オコバンバは郡の東側、エチャラテは北部、ワヨパタは南部にあたるため改めました。精製を「ウォッシュドが約9割、ハニー・ナチュラルが残り1割程度」「発酵槽で12〜24時間」と記載していましたが、一次資料で確認できなかったため比率と時間を削除しました。2013年のさび病を「全体の約4割の畑に影響」と記載していましたが、流行時の全国の作付面積への影響を示す値のため、時点と指標を明記しました。

訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。

追記(2026-10-15): 2025/26年度の生産量について、USDA FAS の2025年報(PE2025-0018)の予測(約420万袋)に加え、新しい推計として Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版)の値(2025/26年度 4,764千袋、2026/27年度予測 4,780千袋)を書き加えました。(2026-09-29の訂正で、出典を確認できなかったため外した「約476.4万袋」は、この推計で確認できました。前年比の増加率は確認していません。)

訂正(2026-10-16): ラ・コンベンシオン郡の農民運動について「ペルー史上有数の農民運動として全国の注目を集めた」と記載していましたが、ほかの農民運動と比べた位置づけや全国での受け止めを示す一次資料を記事で挙げていなかったため、この部分を削除しました。あわせて、品種欄で「高標高ほど生長が遅く風味が凝縮し」「標高1,300〜2,200mの幅は郡内のビルカバンバ・オコバンバ・ワヨパタ・サンタアナ・エチャラテという5地区の微気候差を反映しており、同じ協同組合内でもロットごとに酸味・ボディの出方が変わる」、生産地区の欄で「標高の高さゆえに果実の成熟がゆるやかで、酸味と香りの明瞭さが際立つロットが多い」「比較的標高が低くボディの厚みが出やすく、チョコレート・チェリー系のフレーバーが際立つ」、本文で「標高と精製の微差が風味に表れる点を比べてみるのもおもしろい」と記載していましたが、標高(気候)と風味の因果を示す一次資料は記事で示していなかったため、因果と風味の部分を削除し、品種欄は「標高1,300〜2,200mの幅は、郡内のビルカバンバ・オコバンバ・ワヨパタ・サンタアナ・エチャラテという5地区にまたがる」、生産地区の欄は「郡内では比較的標高が低い」、本文は「同じ農地改革・協同組合という背景を持つ産地として、飲み比べてみるのもおもしろい」に改めました。


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