Terroir — なぜ産地によって味が違うのか
同じアラビカ種でも、産地が変われば味わいはまったく別物になります。この違いを生む土地由来の条件を、ワイン用語を借りて「テロワール」と呼びます。 コーヒーの場合、テロワールを構成する主な要因は標高・土壌・気候・精製方法・品種の5つです。 それぞれの要因がどう味に関わるのかを、実際の産地記事とあわせて見ていきます。
標高
気温は標高が上がるほど下がり、コーヒーチェリーの成熟速度がゆっくりになります。ゆっくり熟すほど糖分や有機酸が蓄積する時間が長くなり、 豆の密度と風味の複雑さが増す傾向があるとされています。標高が高いほど無条件に良いわけではなく、品種ごとに適した範囲があります。 仕組みの詳細は標高がコーヒーの品質を決める仕組みで解説しています。
高地産地の例(標高1,500m超)
コロンビア ナリーニョ
標高1,800〜2,300m
ケニア ニエリ
標高1,600〜2,000m
エチオピア モカ・イルガチェフェ
標高1,700〜2,200m
グアテマラ ウエウエテナンゴ
標高1,500〜2,000m
低地産地の例(標高100m未満)
土壌
火山灰土壌はミネラルが豊富で排水性も高く、コーヒーノキの根に適した環境をつくります。ブラジル南東部の玄武岩由来の赤紫色土壌「テラ・ロッシャ」のように、 火山性でなくても栄養分に富む土壌が名産地を支えている例もあります。土壌の種類は同じ品種・精製方法でも仕上がりの厚み(ボディ)に影響します。
気候
赤道に近い産地は雨季が年2回訪れる「二期性降雨」になりやすく、コロンビアのように年に2回収穫できる産地もあります。 南半球のブラジルは日本と季節が逆転し、乾季にあたる5〜9月が収穫期です。ハワイ・コナのように、午前の晴天と午後の雲・雨が交互に訪れる局地的な微気候が 産地の個性を決めている例もあります。
精製方法
収穫したチェリーから生豆を取り出す工程を精製と呼び、方法によって果肉の糖分が豆にどれだけ移るかが変わります。 精製方法ごとの比較は精製方法の違いとコーヒーの精製方法ガイドで、 発酵を制御する新しい手法はアナエロビック発酵コーヒーの科学で詳しく解説しています。
品種
同じ産地でも品種が違えば香りや酸の質は変わります。品種の全体像は珈琲の3原種とコーヒー品種完全ガイドにまとめています。ここでは1つの品種が主役の産地記事を紹介します。 品種ごとの記事一覧は品種から探すから探せます。
産地を選んで飲み比べる
ここで紹介したのは一例です。世界4地域・100カ国以上の産地記事から、気になる一杯を探せます。
産地から探す →参考文献・情報ソース
- Perfect Daily Grind「Barista Guide: 8 Different Coffee Regions of Guatemala」 — アンティグアの火山性土壌
- Koa Coffee「What Makes Kona Coffee So Unique?」 — コナ特有の午後の雲・微気候
- Britannica「Terra roxa」 — ブラジルの玄武岩由来土壌
- Mercanta「Coffee Seasonality」 — 産地別の収穫・雨季カレンダー
- Ally Open「Understanding Colombia’s Coffee Harvesting Seasons」 — コロンビアの二期作(メイン+ミタカ)
- Ethio Coffee「Ethiopian Coffee Harvest Calendar for Buyers」 — エチオピアの雨季(ケレムト)と収穫期
- StoneX「Brazil’s Coffee Harvest Begins」 — ブラジルの乾季収穫(5〜9月)
- World Coffee Research「SL28」 — SL28の選抜経緯(1935年)