ブルボン(Bourbon)
ブルボン
ブルボンは、アラビカ種の代表的な品種系統の一つで、名前は現在のレユニオン島の旧名ブルボン島に由来します。World Coffee Research(WCR)によると、エチオピア原産のアラビカ種がイエメンを経て、ティピカとは別の経路でブルボン島へ持ち込まれた系統です。WCRのアラビカ史は、フランスが1708・1715・1718年にブルボン島への導入を試みたと記しています。どの回の苗木が根づいたかは、このページでは確かめられていません。米国農務省(USDA/ARS)の2020年の報告は、中南米に広がった栽培品種の多くがブルボンとティピカの2系統に由来するとしています。
WCRは、適した標高は農園の緯度によって変わるとしたうえで、ブルボンを高地(High)向きに分類しています。緯度15度を超える地域では、この区分は標高1,000m超にあたり、上限は示されていません。ブルボンからは自然突然変異でいくつもの品種が生まれました。WCRによると、カトゥーラは1915〜1918年にブラジル・ミナスジェライス州で見つかった矮性の変異で、ビジャ・サルチもコスタリカで見つかったブルボンの矮性の変異です(ビジャ・サルチが見つかった時期は確認できていません)。レユニオン島では、協同組合の説明によると、西部から南部の標高700〜1,000mの産地で変異種ブルボン・ポワントゥを育て、湿式で処理しています。豆を選ぶときは、品種欄の「ブルボン」と、そこから派生したカトゥーラなどの品種を並べて見ると、系統の違いをたどれます。
訂正(2026-09-21): 「ティピカ系の苗がブルボン島の火山性土壌で自然に変異して生まれた」と記載していましたが、World Coffee Researchの品種カタログに基づき、ティピカとは別の経路でブルボン島へ持ち込まれた系統である旨に訂正しました。
訂正(2026-10-14): 「19世紀半ばまで島外へ広まりませんでした」「標高1500m以上で育てられたウォッシュト精製のロットを選ぶと」と記載していましたが、島外へ広まった時期は一次資料で確認できず、World Coffee Researchの品種カタログでは適した標高は緯度によって変わり、ブルボンは高地(緯度15度を超える地域では1,000m超、上限なし)向きとされているため改めました(品種一覧ガイドの2026-10-10の訂正に合わせました)。あわせて、一次資料で確認できない「ティピカより実が丸みを帯び収量もやや多い」「耐病性は高くなく」「糖度の高い甘みと柔らかな酸味」の記述を外しました。
ブルンジ ンゴジ|コーヒーの味・産地・カヤンザ産との違い
柑橘の酸と国家経済を支えた民営化の物語
ブルンジ ンゴジのコーヒーはどんな味か。同国北部の高地で育つレッドブルボンは、隣接するカヤンザ産よりも柑橘系の高い酸味とジューシーな果実味が際立ちます。ウォッシングステーション民営化の歴史も交え、カヤンザ産との違いを整理します
タンザニア ムベヤ
南部高地で育つ、赤い果実とシトラスのクリーンカップ
タンザニア南部高地の主要なアラビカ産地、ムベヤ〜ムボジ地区。小農がブルボン種やケント由来系統をウォッシュド精製し、ストロベリー・ラズベリーの果実味とマイルドな酸のクリーンカップを生みます
メキシコ ベラクルスのコーヒー|国内第2の産地の歴史・標高・品種と味
湾岸の町コアテペック、1808年にコーヒーが届いた産地
メキシコ湾岸のベラクルス州は2021年のSIAP統計で国内第2の産地。1808年にハバナから最初のコーヒーの木が届いた(州政府)。INIFAPの栽培適地は標高600〜1,400m、主な品種はティピカ・ブルボン・カトゥーラ
タイ ドイトゥン
アヘン畑を森に変えた王室財団のアラビカ
タイ北部チェンライ県、故シーナカリン王太后が1988年に始めたドイトゥン開発プロジェクトがアヘン畑と荒廃林をアラビカの森へ変えた産地。標高800〜1,200mでカティモール系などを育ててウォッシュド精製、柑橘とナッツ、ミルクチョコレートの穏やかなカップでEU・日本のGIにも登録
台湾 古坑
台湾コーヒー発祥の地、御用珈琲の記憶
雲林県古坑は農業部農糧署が台湾コーヒーの「起源地」と紹介する産地で、日本統治時代に皇室へ献上された「御用珈琲」の歴史を持ちます。2020年には嵩岳咖啡莊園の藝伎種がCQIのスペシャルティ評価で89.25点を得たと農糧署の資料が紹介しています
パプアニューギニア イースタンハイランズ州
コーヒー研究の拠点アイユラを抱える小農家中心のオーガニック産地
パプアニューギニアの主要産地イースタンハイランズ州は、ゴロカとカイナントゥを核に標高1,548〜1,898mでコーヒーを栽培。CICの研究拠点アイユラと、プロサ・オカパ地区の小農家組合HOACがオーガニック・フェアトレードの品質を支える
タイ ドイチャン
アヘン畑から高地アラビカへ、アカ族が築いた協同組合
タイ北部チェンライ県ドイチャン、アヘン代替作物政策のもとアカ族・リス族が育てたアラビカが標高900〜1,600mで農家協同組合による直接輸出モデルへ成長、ダークチョコレートとキャラメル、オレンジ系シトラスが層をなすスペシャルティ産地
グアテマラ アカテナンゴ
活火山フエゴのそばで育つ、ナチュラル精製の果実味
グアテマラANACAFEが定める8つの産地プロフィールの一つアカテナンゴ渓谷は標高1,300〜2,000m 活火山フエゴの隣で農園を営み噴火の灰がミネラル豊富な土壌を作る De La Genteパートナーの小規模生産者組合はナチュラル精製でマンゴーやきび砂糖のような甘みを引き出す
ペルー プーノ
2010年SCAAピープルズ・チョイス賞のトゥンキ、コカ畑から生まれ変わった渓谷
ペルー南東部プーノ県サンディア郡、アンデスと熱帯雨林が接する渓谷。標高約800〜2,059mでティピカ中心のフルウォッシュド。協同組合セコバサのブランド「トゥンキ」は2010年SCAAのピープルズ・チョイス賞を受賞。かつてコカ栽培地だった谷がコーヒーで生まれ変わった産地
エルサルバドル チャラテナンゴのコーヒー|アロテペック・メタパン山系の産地とパカマラ
アロテペック・メタパン山系から生まれる多様なマイクロロット
エルサルバドル北部、アロテペック・メタパン山系に位置するチャラテナンゴのコーヒーを、2007年カップ・オブ・エクセレンス首位ロットと現在流通する生産者ロットの記録から読み解きます
メキシコ チアパスのコーヒー|国内最大の産地とエル・トリウンフォの協同組合
メキシコ有数の雲霧林、エル・トリウンフォが育む協同組合コーヒー
メキシコ南部チアパス州、ユネスコ生物圏保護区エル・トリウンフォの緩衝地帯で栽培されるアラビカ。CESMACHとフィンカ・トリウンフォ・ベルデという2つの協同組合が、先住民農家とともにブルボン・ティピカを手摘みし水洗式コーヒーを生み出す産地です
ルワンダ フイエ(マラバ)
2001年設立のウォッシングステーションが紡ぐ柑橘とチョコレートの余韻
ルワンダ南部フイエ県マラバ地区、2001年設立のウォッシングステーションを擁するアバフザムガンビ協同組合の産地。ブルボン種主体のフルウォッシュが生むオレンジやチョコレート、キャラメルの甘みとクリーンな酸味。Cup of Excellenceでは同組合や傘下ステーションのロットが複数年入賞
コスタリカ トレス・リオス
イラス火山の斜面に広がる"コスタリカのボルドー"
サンホセ近郊、イラス火山の斜面に広がるトレス・リオス地区の一杯です。ハチミツ系のアロマとプラム・オレンジの甘酸っぱさと上品なバランスが持ち味です
ベトナム ダラット
ロブスタが約96%を占める国で、ダラット近郊の高原で栽培されるアラビカ
生産量の約96%がロブスタというベトナムで、ダラット近郊の高原カウダットが持つアラビカの顔を、ラムドン省の公的資料とUSDAの統計から探ります
グアテマラ ウエウエテナンゴのコーヒー|標高1,500〜2,000m・ワインのような風味
メキシコ国境、シエラ・デ・ロス・クチュマタネス山系の産地
ウエウエテナンゴは、グアテマラとメキシコの国境地帯、シエラ・デ・ロス・クチュマタネス山系に位置する産地です。ANACAFEは栽培標高を1,500〜2,000mとし、そのコーヒーを「強い酸味、フルボディ、心地よいワインのような風味」と評しています。代表的な農園、おすすめの焙煎度と淹れ方も紹介します
ペルー カハマルカ
国内生産シェア約22%(USDAの2024/25年予測で首位)、アンデス北部の小規模農家が紡ぐ柑橘とフローラル
ペルー北部カハマルカ州、標高1,400〜2,050mのアンデス北部高地。USDA FASの2024/25年度予測では国内生産の約22%を占める首位の産地で、カトゥーラ・ティピカ・ブルボン主体のウォッシュド。協同組合APROCASSIが小規模農家を束ね、柑橘・フローラル・アプリコットの清澄な甘みを生む
トリニダード・トバゴ ノーザンレンジ
カカオの島が育む、チョコレートとキャラメルの深い一杯
カリブ海最南端の島国トリニダード・トバゴ。ノーザンレンジの山麓の谷間では、砂糖やカカオの陰でコーヒーが栽培されてきた。ボア・イモーテルの日陰で育ったアラビカ種は、ダークチョコレート・キャラメル・トロピカルフルーツが溶け合う独特の風味を生み出す
アンゴラ ウィジェ
かつて世界第4位、内戦を越えて甦るアンボイム・ロブスタ
1970年代に世界第4位の生産国として輝いたアンゴラが内戦で荒廃した農園から半世紀を経て復活しつつあり、ウィジェ州固有品種アンボイム・ロブスタとフワンボ高地のアラビカがアフリカの眠れる巨人の新章を刻む
バヌアトゥ タナ島(Tanna)のコーヒー|活火山ヤスール山の火山灰が積もる高原で育つ南太平洋のアラビカ
活火山の灰が積もる南太平洋の島で育つアラビカ
バヌアトゥのタナ島は、活火山ヤスール山の火山灰が積もる高原でアラビカ種が育つ南太平洋の産地。1984年設立のタナ・コーヒー・ディベロップメント・カンパニー(TCDC)が農家の豆を買い取り、国際市場に出す。導入の歴史、品種、精製方法、味の特徴をまとめる
ネパール グルミ
ヒマラヤ山脈の南麓、1938年に栽培が始まったとされるグルミのアラビカ
1938年にコーヒー栽培が始まったとされ、ネパールコーヒーの発祥地ともされるグルミ。ブルボン・ティピカ主体とされるネパールのアラビカの産地で、協同組合によるウォッシュド精製と有機栽培の取り組みを紹介します
ラオス ボラベン高原のコーヒー|南部の火山性台地に広がるラオスの中心産地と品種
玄武岩の台地に広がる、協同組合が支える高原アラビカ
ラオス南部のボラベン高原は、同国のコーヒーの中心産地。標高800〜1,350m(ラオスコーヒー協会)の玄武岩の台地で、ティピカ・ブルボン・カティモールが育つ。約1,855世帯が参加するCPC協同組合(FAO資料)とウォッシュドの精製をまとめる
マダガスカル 中央高地
多様な野生コーヒーが分布する生物多様性の島で育つ希少アラビカ
マダガスカルは多様な野生Coffeaが分布するコーヒー生物多様性の宝庫。生産の主体はロブスタで、FOFIFAによればアラビカは約5%。中央高地のブルボン系アラビカはナチュラル精製で花と果実の繊細な香りを持つ
ベネズエラ メリダ州/タチラ州
19世紀のコーヒー輸出国から静かな復興へ——アンデス高地の甘みとクリーンネス
19世紀にはマラカイボ港からのコーヒー輸出で知られたベネズエラ。メリダ州・タチラ州のアンデス高地では標高1,200〜2,000m以上でティピカ・ブルボンを中心としたアラビカが育つ。石油依存と政治経済混乱で衰退した後、スペシャルティグレード「ラバド・フィノ」を軸に再評価の動きがある
コンゴ民主共和国 キブ|コーヒーの味・キブ湖畔の協同組合
キブ湖のほとりで、協同組合が磨くウォッシュドのコーヒー
コンゴ民主共和国(DRC)東部、ルワンダ国境のキブ湖周辺の高地で育つブルボン主体のスペシャルティコーヒー。SOPACDIやMuunganoなどの協同組合がフェアトレード認証・直接取引で輸出に取り組む産地で、丁寧なフリーウォッシュがライム・イチジク・ダークチョコの多層的なカップを生みます
オーストラリア スカイベリー
南半球の高原で、豪州初の商業コーヒー農園を掲げるスカイベリーのアラビカ
クイーンズランド州マリーバの高原で育つオーストラリア・スカイベリーのコーヒーです。1987年に開園し、豪州初の商業コーヒー農園を掲げる同園の歴史と、機械収穫を前提とした栽培・ウォッシュト精製を紹介します
プエルトリコ ヤウコ・セレクト
19世紀に欧州へ渡ったカリブの銘品
19世紀に欧州へ輸出され、ローマ教皇や王族も好んだと語られるプエルトリコ産コーヒー。西部山岳地帯ヤウコで育つ「ヤウコ・セレクト」は、なめらかなボディと上品なチョコレートの甘みが特徴の希少な逸品です
ニカラグア ヒノテガ|コーヒーの味・産地・木陰栽培の特徴
木陰栽培が主流とされる、ヒノテガ・マタガルパの高地
ニカラグア コーヒーはどんな味か。代表産地ヒノテガ・マタガルパの高地ではシェードグロウン(木陰栽培)が主流とされます。ウォッシュド精製の豆について、本ブログが目安とする味わい(ブラウンシュガー・ミルクチョコ・柑橘・穏やかな酸味)と、産地・生産規模・協同組合を解説します
エルサルバドル サンタアナ|コーヒーの味・ブルボンとパカマラ
中米エルサルバドル――ブルボンの甘み
エルサルバドル コーヒーはどんな味か。サンタアナ火山周辺などで栽培されるブルボン種とパカス種、その交配のパカマラ種を紹介。2024年COEの「Washed + Honey」部門ではパカマラ種のロットが1位に。味わいと淹れ方も解説します
ガラパゴス サンクリストバル
世界自然遺産の島で育つ、少量生産のアラビカ
エクアドル領ガラパゴス諸島サン・クリストバル島産のアラビカ。ユネスコ世界自然遺産の保護区内で農薬・化学肥料を使わず栽培され、産地の標高は130〜600m(英国の保護産品仕様書)。「ガラパゴスクイーン」の別名でも流通する少量生産のスペシャルティ
グアテマラ アンティグア|コーヒーの味・火山盆地と8産地の違い
三火山に囲まれたアンティグアから高地ウエウエテナンゴまで、8つの産地で性格が分かれる中米コーヒー
グアテマラ アンティグアはどんな味か。アグア・フエゴ・アカテナンゴの三火山に囲まれた盆地で生産される、スモーキーとも表現されるコクを中心に、アンティグア・ウエウエテナンゴなど8つのスペシャルティ産地の気候差と最高等級SHBの基準まで整理します
ホンジュラス マルカラ|コーヒーの味・産地・COE入賞豆の特徴
USDA FASの予測で中米最大の生産国とされた国の高地コーヒー
ホンジュラス コーヒーはどんな味か。USDA FASの報告(予測)で2011/12年度に中米最大の輸出国、2020/21年度に中米最大の生産国とされた国。コパンやマルカラなど地域ごとの個性と、2024年COE(カップ・オブ・エクセレンス)ホンジュラス大会の結果から見る注目産地です
タンザニア キリマンジャロ|キリマンジャロ山麓の産地・味の特徴・品種・おすすめの淹れ方
アフリカ最高峰の麓の協同組合の一杯
タンザニア キリマンジャロはどんな味か。アフリカ最高峰の麓で育つコーヒーについて、協同組合連合KNCUの資料にある品種(ブルボン・ケント)、焙煎度と淹れ方の目安まで整理します
参考文献・情報ソース